制作年: 2006
東西ドイツの歴史を性という側面から捉え科学的検証を試みるドキュメンタリー。当時のニュースフィルムや性教育映画「女体の神秘」、歴史学者の証言などから、アニメーションを交え、国家の事情や真の幸福を求める人間像を浮き彫りにする。監督・脚本はアンドレ・マイヤー。かつて鉄のカーテンで仕切られていた東西ドイツ。米ソ冷戦時代の象徴として、同じ民族でありながら2つに分断され、統制経済と自由経済という大きな隔たりがあった彼らの生活は何もかも異なっていた。1989年にベルリンの壁が崩壊、1990年にはドイツ統一が達成される。その後、社会学者たちが、それまでベールに包まれていた東ドイツの生活の実態を詳細にリサーチ。経済的には西ドイツに軍配が上がるものの、セックスに関しては東ドイツの進んだ状況が明らかになった。東ドイツでは、セックス初体験の年齢は西ドイツより早く、回数やテクニックも西を遥かに越えており、85%の女性がオルガスム体験者。ピルも妊娠中絶も早くから合法化され、女性たちは自立しておりセックスと結婚制度を切り離して捉えていた。初出産年齢は20歳~22歳。一方の西ドイツでは、性道徳は教会がコントロールし、ピルへの反対論が噴出。ポルノやフリーセックスが話題になっていた頃、壁の向こう側では、既にセックスがオープンに語られ、国家主導の性教育が実施されていたのである。