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- ジェームズ・キャメロン
略歴 / Brief history
【独学で映画作りを学んだ完璧主義者】カナダのオンタリオ州、大自然に囲まれた小さな町カプスカシンで5人兄弟の長男として生まれる。電気技師の父の影響で幼い頃から機械に興味を持ち、「2001年宇宙の旅」に衝撃を受け、8ミリカメラで映画を撮り始める。その後、父の転職でカリフォルニア州オレンジ・カウンティに引越し、高校卒業後は州立大学に進学。海洋生物学と物理学を学ぶも2年で中退し、整備工場に就職する。しかし映画監督の夢を諦めきれず、独学で映画製作を学び、SF映画“Xenogenesis”を自主製作。その後、多くの若手監督を育てたロジャー・コーマンの会社ニューワールド・ピクチャーズのスタッフとなり、「宇宙の7人」(80)、「ギャラクシー・オブ・テラー/恐怖の惑星」(81)の特撮班となる。1981年、「殺人魚フライングキラー」で初監督。しかし与えられた脚本、プロデューサーとの衝突やスタッフとの軋轢から、キャメロン自身にとっては満足のいく出来ばえではなかった。その経験から自分の脚本で監督をすることを念頭に置き、その頃書き始めたのが代表作となる「ターミネーター」である。完成した脚本は映画会社の話題となり、640万ドルの出資を受けて作った中規模映画「ターミネーター」は、世界中で大ヒット。続いて脚本も依頼された「エイリアン2」(86)、「ターミネーター」の続編「ターミネーター2」(91)も大成功を収め、SFアクション映画の第一人者になる。【「タイタニックで世界の頂点に】粘着的なアクション描写や闘う女性への憧憬、銃器への偏愛など、どんな大作を手がけても確実にその作家性を刻みつけ、一般客にもマニアにも愛される監督として意欲作を連発。深海SF映画「アビス」(89)、「ターミネーター」でスターダムに押し上げたアーノルド・シュワルツェネッガーとの3度目のコンビ作「トゥルーライズ」(94)を経て、97年、「タイタニック」を発表する。細部までこだわるキャメロンの完璧主義により、製作費を予定より大幅に超えて、撮影中からなにかと話題を呼んだ「タイタニック」だが、映画史上最高の興行収入を記録。もちろんキャメロンの作品でも最大のヒット作となった。アカデミー賞でも作品、監督賞を含む11部門を独占し、名実ともにハリウッドの頂点に立つ。総決算「タイタニック」の成功以後、監督の仕事からは長く離れて、テレビドラマ『ダーク・エンジェル』の製作総指揮やI―MAXの映画製作など、活動の中心をプロデューサー業に移行しつつある。80年代から90年代にかけてのアメリカ映画大作主義時代を象徴する存在であり、09年末には製作に4年以上を費した久々の監督作、3D映画「アバター」の公開が予定されている。
ジェームズ・キャメロンの関連作品 / Related Work
作品情報を見る
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アバター ウェイ・オブ・ウォーター
制作年: 2022全世界歴代興行収入記録を塗り替えたジェームズ・キャメロン監督によるSF大作「アバター」の続編。神秘の星パンドラの一員となりネイティリと家族を築いたジェイクだったが、再び人類がパンドラに現れ森を追われ、身を寄せた海の部族の元にも侵略の手が迫る。前作でパンドラの先住民ナヴィと人間のDNAを組み合わせた肉体〈アバター〉を得てパンドラに降り立ったジェイク役のサム・ワーシントンが続投。ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバーも引き続き出演する。 -
ターミネーター:ニュー・フェイト
制作年: 2019ジェームズ・キャメロン製作による「ターミネーター2」の正統とされる続編。21歳のダニーと弟がターミネーター“REV-9”の襲撃を受ける。2人を守ったのは、未来から送り込まれた強化型兵士グレースだった。そしてサラ・コナーが現れ、REV-9と死闘を展開する。監督は、「デッドプール」のティム・ミラー。出演は、前2作でもサラを演じたリンダ・ハミルトン、ターミネーターを演じたアーノルド・シュワルツェネッガーの他、「タリーと私の秘密の時間」のマッケンジー・デイヴィス、TVドラマ『エージェント・オブ・シールド』のガブリエル・ルナ。75点 -
アリータ:バトル・エンジェル
制作年: 2018木城ゆきと原作の漫画『銃夢』を「アバター」のジェームズ・キャメロン製作・脚本で実写化。数百年後の未来、すべての記憶を失った状態で発見されたサイボーグの少女アリータ。あるとき、自分の並外れた戦闘能力に気づくと、自らの出生の秘密を探す旅に出る。監督は、「シン・シティ」シリーズのロバート・ロドリゲス。出演は、「メイズ・ランナー:最期の迷宮」のローサ・サラザール、「ジャンゴ 繋がれざる者」のクリストフ・ヴァルツ、「ビューティフル・マインド」のジェニファー・コネリー、「ムーンライト」のマハーシャラ・アリ。75点 -
すばらしき映画音楽たち
制作年: 2016映画を盛り上げる映画音楽の制作過程やその魅力に迫るドキュメンタリー。WOWOWにて日本初放送。特集企画『カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017』にて上映(上映日:2017年8月5~7日、12日、13日、18日)後、順次劇場公開。80点