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- 伊藤蘭
略歴 / Brief history
東京都生まれ。絵を描くのが好きな恥ずかしがり屋だったが中学時代に演劇部に入り、女優を目指すようになる。1969 年、スクールメイツに応募しメンバーに選抜。72 年、NHK『歌謡グランドショー』マスコットガールのオーディションにスクールメイツの田中好子、藤村美樹とともに合格、“ キャンディーズ” と命名される。3人のうち一番年上でリーダー的役割になる。生放送のアシスタントを楽しそうにこなす姿が好評で、73 年よりTBS『8時だヨ!全員集合』のレギュラーに抜擢され、レコード・デビューも飾る。当初のメインボーカルは田中だったが、大人びた魅力に人気が集まったことから5枚目のシングル『年下の男の子』75 で初のセンターをとる。これが大ヒットとなり、以後は絶大な人気を誇るアイドル・グループに。『全員集合』などで演じるコントでは、本職のコメディアンが舌を巻くほどのセンスを見せた。しかし、進学した日本大学芸術学部演劇学科をほとんど行けぬまま中退。多忙を極める毎日に悩み3人で話し合った結果、77 年のコンサートで「普通の女の子に戻りたい」と事務所の了承を得ぬまま解散宣言し、世に衝撃を与える。78 年、後楽園球場に当時空前の5万5000 人を集めた解散コンサートでキャンディーズの活動にピリオドを打った。1年半余の休養後、芸能界に復帰し、TBS 東芝日曜劇場『春のささやき』80 に主演。「普通の女の子」の復帰には揶揄の声も上がったが、自身は初めて本格的に演技に取り組む新人の心境で臨んだという。この年は2本の映画にも出演。大森一樹監督「ヒポクラテスたち」では医大の優等生、山田洋次監督「男はつらいよ・寅次郎かもめ歌」では働きながら夜間高校に通う孤独な娘と対照的な役柄を演じ、実力を証明する。前者でヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。81 年の朝間義隆監督「俺とあいつの物語」では武田鉄矢と夫婦役で主演をつとめるも、これが現在のところ最後の映画となっている。同年、野田秀樹主宰の“ 夢の遊眠社” の舞台『少年狩り』『ゼンダ城の虜』で演劇に初挑戦し、ゴールデンアロー賞演劇新人賞。以降、テレビドラマと演劇が中心の女優活動を続ける。ドラマの代表作は日本テレビ『あんちゃん』82、フジテレビ『君は海を見たか』82、『オレゴンから愛』84、『太陽は沈まない』00、『風のガーデン』08、NHK『うさぎの休日』88、TBS『good news』99、CBC『旅する夫婦』10 など。『あんちゃん』で共演した俳優・水谷豊と90 年に結婚。
伊藤蘭の関連作品 / Related Work
作品情報を見る
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祈りの幕が下りる時
制作年: 2018連続ドラマから始まった東野圭吾原作『新参者』シリーズの完結編。滋賀在住の押谷道子が都内で絞殺される。道子は同級生だった演出家・浅居博美を訪ねようとしていた。不可解な点が多く捜査が難航する中、日本橋署刑事・加賀の亡母と繋がる遺品が見つかる。『下町ロケット』や『半沢直樹』など数多くのドラマを手がける福澤克雄が、第48回吉川英治文学賞を受賞した東野圭吾の同名ミステリーを映像化。「疾風ロンド」の阿部寛が日本橋に異動してきた刑事・加賀恭一郎を引き続き演じるほか、女性演出家役で「藁の楯 わらのたて」の松嶋菜々子が出演。69点 -
くじけないで
制作年: 201390歳から詩作をはじめ、上梓した『くじけないで』『百歳』(飛鳥新社刊)がベストセラーとなった柴田トヨ。激動の時代を生きてきた彼女の言葉に多くの人が勇気づけられる中、2013年1月に101歳で他界した柴田トヨの半生を描く。監督・脚本は「神様のカルテ」「60歳のラブレター」の深川栄洋。温かく心に沁みるような言葉を紡ぐ柴田トヨを「引き出しの中のラブレター」「蝶々夫人」の八千草薫が、彼女に詩作を勧める息子を「ストロベリーナイト」「プロゴルファー織部金次郎」シリーズの武田鉄矢が演じる。ほか、「少年H」の伊藤蘭、「武士の一分」の壇れい、「うさぎドロップ」の芦田愛菜らが出演。80点 -
少年H
制作年: 2012累計340万部を超える妹尾河童のベストセラー小説を、「あなたへ」「あ・うん」の降旗康男監督が映画化。第二次世界大戦前後の神戸を舞台に、めまぐるしく変わっていく時代の激流と、流されることなく強く生きる少年Hの家族を描く。脚本は「探偵はBARにいる」「キサラギ」の古沢良太。実生活でも夫婦の、「相棒-劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン」「HOME 愛しの座敷わらし」の水谷豊と「大人になった夏」「ヒポクラテスたち」の伊藤蘭が、少年Hの両親を演じる。また、NHK連続テレビ小説『カーネーション』の吉岡竜輝と花田優里音が、少年Hとその妹を演じている。ほか、「宇宙兄弟」の小栗旬、「座頭市」の早乙女太一らが出演。 -
男はつらいよ 寅次郎かもめ歌
制作年: 1980死んだテキ屋仲間の娘を柴又に連れてきて夜間高校へ通わす寅と“とらや”の人々の暖かい人情を描くシリーズ第二十六作。今回のマドンナには元キャンディーズのランちゃんこと伊藤蘭が迎えられている。脚本は「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」の山田洋次と同作の朝間義隆の共同執筆、監督も同作の山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫がそれぞれ担当。68点