岸部一徳 キシベイットク

  • 出身地:京都府京都市
  • 生年月日:1947/01/09

略歴 / Brief history

京都府京都市の生まれ。本名・岸部修三。八人きょうだいの三男で、すぐ下の弟はタレント・俳優の岸部四郎。市立伏見工業高校在学中から音楽活動を始め、沢田研二、森本太郎らとともに結成したバンド“ファニーズ”が内田裕也の目に留まり、上京。作曲家のすぎやまこういちに“ザ・タイガース”と命名され、1967年、シングル『僕のマリー』でデビューする。この頃の芸名は“岸部おさみ”。タイガースは、やがて起きるグループサウンズ・ブームの中心的存在として活躍し、岸部はバンドのリーダーおよびベーシストとして音楽的センスを高く評価された。71年1月の武道館公演を最後にタイガースは解散。同年2月に沢田、元ザ・テンプターズの萩原健一、元ザ・スパイダースの大野克夫、井上堯之らと新たに“PYG”を結成して音楽を続ける。しかし、俳優業が忙しくなった萩原の参加が難しくなったことから、72年秋に解散。岸部は萩原と沢田を除いたメンバーで結成された“井上堯之バンド”に参加し、日本テレビ『太陽にほえろ!』72、『傷だらけの天使』74などのテーマ曲や、沢田のバックバンドをつとめたが、やがて音楽性の違いから75年6月にバンドを脱退する。75年、沢田が主演したTBS『悪魔のようなあいつ』75にやくざ役で出演。それ以前にもタイガース時代にグループで数本の映画に主演していたが、翌76年に樹木希林の命名で“岸部一徳”と芸名を改めて、本格的に俳優業に転じる。77年、藤田敏八監督「実録不良少女・姦」で映画にも本格的に出演。80年代は藤田作品を始め、「時をかける少女」83から大林宣彦監督の映画にも常連俳優となり、「細雪」83をきっかけに市川崑監督にも重用された。最初の頃は演技的に素人臭さがあり、それが独自の味になっていたが、やがて善良な庶民から冷酷な悪党までをこなす個性派俳優へと成長。その多くが助演作だったが、90年の小栗康平監督「死の棘」で初主演。夫婦の精神的な危機を描いたこの作品で、原作者・島尾敏雄をモデルにした夫役を抑制の効いた演技で表現し、キネマ旬報賞主演男優賞、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝いた。以後は演技派としての地位を確立し、政情不安な国から脱出しようとする日本人商社マンたちをコミカルに描いた滝田洋二郎監督「僕らはみんな生きている」93などの演技で、キネマ旬報賞、報知映画賞の助演男優賞を受賞。ベテラン監督から新人まで膨大な数の作品に起用され、特異な存在感で活躍を続ける。近年も緒方明監督「いつか読書する日」05で、田中裕子演じるヒロインと互いに秘めた想いを長年持ち続けてきた男の不器用な純愛を見事に表現して、ヨコハマ映画祭助演男優賞を獲得。光石富士朗監督「大阪ハムレット」09では、大阪シネマフェスティバルの助演男優賞を受けた。テレビドラマも、初期のNHK『阿修羅のごとく』79、『夢千代日記』81、TBS『港町純情シネマ』80などから、時代劇・現代劇を問わず幅広く出演。近年の主な出演作に、TBS『夢のカリフォルニア』02、日本テレビ『瑠璃の島』05、NHK『クライマーズ・ハイ』05、『再生の町』09、フジテレビ『医龍/Team Medical Dragon』06~10、『ありふれた奇跡』09などがあり、劇場版2作が作られた人気シリーズのテレビ朝日『相棒』02~11で演じた小野田官房長役が最近の当たり役である。

岸部一徳の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 劇場版ドクターX

    制作年: 2024
    米倉涼子扮する天才外科医・大門未知子の活躍を描いた人気テレビドラマシリーズの劇場版にして、テレビ朝日65周年記念作品。突然現れた東帝大学病院の新院長・神津比呂人と、その双子の弟で医療機器メーカーのCEO、多可人。最強の敵、天才ツインズたちの目的は何なのか、大門未知子誕生の秘密が明らかになる。共演は「あの人が消えた」の田中圭、「陰陽師0」の染谷将太。
  • 首(2023)

    制作年: 2023
    北野武が原作・監督・脚本・編集・出演を務め、本能寺の変を独自の歴史観で描いた時代劇。信長が天下統一を掲げ、毛利軍、武田軍、上杉軍などと戦っていた最中、家臣の荒木村重が反乱を起こし、姿を消す。信長は秀吉、光秀ら家臣に村重の捜索を命じるが……。出演は、「ドライブ・マイ・カー」の西島秀俊、「MINAMATA-ミナマタ-」の加瀬亮、「怪物」の中村獅童。第76回カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア部門出品。
    60
  • 99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE

    制作年: 2021
    2016年、2018年に放送された人気ドラマの劇場版。99.9%逆転不可能と言われる事件で無罪を勝ち取ってきた型破りな弁護士・深山のもとに、15年前の天華村毒物ワイン事件に関する依頼が舞い込む。その事件には、謎の弁護士・南雲が関わっていた。出演は、「ナラタージュ」の松本潤、「七つの会議」の香川照之、「妖怪大戦争 ガーディアンズ」の杉咲花。監督は、「仮面病棟」の木村ひさし。
  • 総理の夫

    制作年: 2021
    山本周五郎賞や新田次郎文学賞を受賞した作家・原田マハの20万部超えのベストセラー小説を原作に、田中圭と中谷美紀が「日本初のファーストジェントルマン」と「日本初の女性総理」となった夫婦を演じる先取系(?)政界エンタテインメント。内閣広報担当に貫地谷しほり、イケメン総理秘書に工藤阿須加が扮するほか、松井愛莉、木下ほうか、米本学仁、嶋田久作、片岡愛之助、余貴美子、岸部一徳など、癖の強い俳優たちが脇を固める。日本初の女性総理大臣として神々しい美しさで登場する凛子役・中谷美紀に対して、鳥類学者で無精ひげ、恰好をまったく気にしない日和役・田中圭の丁々発止が小気味いい。マスコミの突撃を受けて自身が“日本初の”ファーストジェントルマンとなったことを知り、驚きを隠せない日和に、「驚かせてごめん」と言う凛子だが、“監視”、“追っかけ”、さらには“スキャンダル”まで数々のピンチが日和に降りかかる。果たして、日和と凛子はこの“歴史をも動かす”ピンチを乗り越えられるのか?
  • 一度も撃ってません

    制作年: 2020
    石橋蓮司が「黄昏流星群 星のレストラン」以来18年振りに主演するハードボイルドコメディ。売れない小説家・市川は密かに殺しの依頼を受けては本物のヒットマンに仕事を頼み、その状況を取材していた。そんな彼が、敵のヒットマンから命を狙われてしまう。監督は、「半世界」の阪本順治。脚本は、ドラマ『探偵物語』の丸山昇一。出演は、「団地」の大楠道代、「北の桜守」の岸部一徳、「ふたりの旅路」の桃井かおり。
    60
  • 轢き逃げ 最高の最悪な日

    制作年: 2019
    水谷豊が「TAP -THE LAST SHOW-」に続きメガホンを取った人間ドラマ。轢き逃げ事件が起こり、一人の女性が死亡。運転していた秀一とその親友・輝、被害者の両親・光央と千鶴子、事件を担当する刑事たち、それぞれの人生が複雑に絡み合う。水谷豊によるオリジナル脚本で、轢き逃げ事件に関係する7人の心の動きを描く。秀一を「アノソラノアオ」の中山麻聖が、輝を「MARCHING-明日へ-」の石田法嗣が、被害者の父親を水谷豊が演じる。
    90