中山仁 ナカヤマジン

  • 出身地:中国・北京市
  • 生年月日:1942/09/25
  • 没年月日:2019/10/12

略歴 / Brief history

早稲田大学政経学部2年中退。64年、文学座付属演劇研究所に入り65年卒業と同時に劇団NLTに入団。65年11月からのフジテレビの昼のメロドラマ『乱れる』に南田洋子の相手役として抜擢され、梶山仁の芸名でまず茶の間にデビューする。66年、番組終了と同時に中山仁と改名、化粧品会社のポスターに顔を出し、売り出しのきっかけをつかみ、同年4月の東宝「ひき逃げ」(成瀬巳喜男監督)に脇役で映画初出演。この年はまた『リュイ・ブラス』で舞台にもデビューする。同年末、五所平之助監督に抜擢され、松竹「宴」(67)に映画出演2本目ながら主役の座を獲得、人妻(岩下志麻)の愛をしりぞけ、昭和維新、いわゆる二・二六事件を首謀して挫折、処刑される青年将校を、生硬な演技のままに演じ、この映画の原作者・利根川裕が主人公に付与した、真に愛し得る者は現世に存在し得ないという哲学のもとに愛人の死さえ望む、そうした性格をじゅうぶんに表現し得たとはいえなかったが、正義を信じ、ひたむきに己が道を突き進む、いちずな硬派青年像は、このとき、きわだって新鮮な印象をあたえ、ぶっきらぼうだが粗野ではなく、硬派ではあるが夢みがちな甘さも漂わせた、そんな新鮮さが買われ、この柄にそった純粋な若者タイプで一気に売り出してゆく。すなわち67年は「宴」のあと山田洋次監督に起用され、パニョルの『ファニー』の翻案「愛の讃歌」にマリウス役で倍賞千恵子と共演、ここでは夢みがちでいちずな青年を好演。続く中村登監督「智恵子抄」では岩下志麻の弟役で助演だったが、次ぎの東宝初出演、須川栄三監督「颱風とざくろ」では逞しい大学庭球部のコーチで冬山で遭難死する青年で星由里子と共演、持ち味を発揮。再び松竹での井上梅次監督「激流」では生花宗家の娘にふんした岩下志麻と劇団NLT同期の寺田史の2人の相手役をつとめ、ついで斎藤耕一監督が自ら独立プロをひきいての第1作「囁きのジョー」に主演、ブラジル渡航を夢みながら恋人に身体を売らせ、殺し屋として警察に追われる虚無的な青年を甘さをたたえながら好演、代表作とし、さらに市村泰一監督の松竹「花の宴」では香山美子を共演者に滝廉太郎を演じ、これらの華々しい活躍で67年度製作者協会新人賞を手中にするが、同年は舞台でも6月に『鹿鳴館』、10月に『朱雀家の滅亡』という三島由紀夫劇に主演、注目される。68年以後、映画は松竹で長谷和夫監督「嵐に立つ」に主演、斎藤の「思い出の指輪」にヴィレッジ・シンガーズと共演、中村登の「わが闘争」に佐久間良子と共演、東宝で岩内克己監督「砂の香り」(68)に浜美枝と共演、松竹で中村の「日も月も」(69)に岩下、大空真弓と共演するが、このころから彼のもつ新鮮さが急速に薄れてゆくとともに準主演から客演、助演へと回るようになり、斎藤の「愛するあした」「海はふりむかない」(69)、東宝で「死ぬにはまだ早い」(69)、「サインはV」(70)に出演したあとは出演本数も急速に減って72年「約束」、74年「伊豆の踊子」、76年「超高層ホテル殺人事件」「バカ政ホラ政トッパ政」、77年「陰獣」に出演するのみで仕事の主力をテレビに移し、その近作にTBS『七人の刑事』(78)、テレビ朝日『流氷の詩』(79)、NHK『草燃える』(79)などがある。68年、寺田史(寺田農の妹)と結婚するとともに三島由紀夫の劇団浪曼劇場に転じ、70年11月の三島の死とともに劇団解散、以後はフリーとなっている。2子あり。

中山仁の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • ふるさとをください

    制作年: 2007
    障害のある人たちに働く場を提供する共同作業所の運動を展開する“きょうされん”が30周年を記念して製作した作品。和歌山のある街に共同作業所ができたことから起こる、地元の人々と作業所関係者の対立と和解を通じ、共同作業所の存在意義を訴える。出演は「ひめゆりの塔」の大路恵美、「NANA2」のベンガル。
  • GUN CRAZY Episode3 叛逆者の狂詩曲<ラプソディー>

    制作年: 2003
    2002年に、菊川怜と米倉涼子のスーパーアイドルの競演が話題となった『GUN CRAZY』。そのシリーズ第3弾が登場! 主演に仲根かすみ、大谷みつほというフレッシュな面々を新たに迎え、ストーリーもより熱く、アクションもよりハードに展開し、エネルギッシュな内容に仕上がった。
  • スペーストラベラーズ

    制作年: 2000
    人質と共に銀行に立てこもった3人組の強盗が巻き起こす騒動を描いた青春コメディ。監督は「踊る大捜査線 THE MOVIE」の本広克行。人気お笑い集団・ジョビジョバの舞台劇を基に、「ときめきメモリアル」の岡田惠和が脚色。撮影監督に「催眠」の藤石修があたっている。主な出演者は、「君のいた永遠」の金城武、「アドレナリンドライブ」の安藤政信、「カリスマ」の池内博之ら。
  • 狼たちの復讐 THE REVENGE OF THE WOLVES

    制作年: 1998
    ヤクザの世界から足を洗おうとした若者たちと、組織の闘いを描いたバイオレンス・ドラマ。監督・脚本は「柘榴館」の伊藤秀裕。撮影を「エコエコアザラクII」の須藤昭榮が担当している。主演は本作でデビューを飾った、元WBA世界ジュニアバンタム級のチャンピン・鬼塚勝也。1998年1月10日より大阪・天六ホクテンザ1にて先行公開。
  • ジャック パチスロ闇の帝王4

    制作年: 1993
    杉本哲太主演によるギャンブルムービー第4弾。舎弟の渉が息を引き取った。闇の帝王・南井は精彩を欠き、ラストドラムが決まらない。一方、政界に進出する土田はスロッターの戸井田とイナゴ軍団を差し向け、選挙区内のパチスロ店を傘下に収めていた。【スタッフ&キャスト】監督:松井昇 原作:西連史朗/山根泰昭 脚本:井出良英 出演:杉本哲太/椎名桔平/一輝/中山仁
  • ジャック パチスロ闇の帝王3

    制作年: 1993
    杉本哲太主演によるギャンブルムービー第3弾。ある日、南井彰の前にかつて共に日銭暮らしをしていたスロッターの松長が現れる。経営者として表の世界でのし上がった松長は、南井にふたりで儲けようと持ち掛ける。南井は強く拒むのだが…。【スタッフ&キャスト】監督:松井昇 原作:西連史朗/山根泰昭 脚本:井出良英 出演:杉本哲太/サブ/藤田佳子/中山仁