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  • 映画を見て、楽しく学ぶ――。<映画感想文コンクール2020・春>特別開催! 全国映画感想文コンクールが小学生の「おうち学習」を応援! (C)2020 Disney 2019年の夏に全国の小学生、中学生から10,000篇以上の応募があった「映画感想文コンクール」が初めて春に開催される。しかも、すでに応募は始まっているとのこと。今回の開催に至った経緯や気になる入賞者への賞品などについて全国映画感想文コンクール実施委員会の三浦理高さんに伺いました。 ーまずは、「映画感想文コンクール」のご紹介を簡単にお願いします。 映画感想文コンクールは、文字通り、映画を観て感想文を書いてもらうというコンクールで、毎年夏に開催しています。2014年から全国規模で開催していますが、昨年は過去最多の10,000篇を超える応募がありました。これは(必須課題ではない)数あるコンクールの中でも異例の数字だそうです。齋藤孝教授や文化庁の方からも推奨頂いていますが、映画を観て、それを感想文に書くことが「学習につながる」という考えが教育の現場に広がっていることが実感できて、とても嬉しく思っています。 ーそこまで応募数が拡大した要因はどこにあるのでしょう やはり「楽しい」が先にくることではないでしょうか。まず映画を楽しむこと、それからその映画に込められたメッセージを読み解いたり、登場人物に感情移入したり、一緒に観た人と感想を言い合ったり、その先に感想文を書くという行為があるので、児童にとっては取り組みやすいのではないかと思います。実はこれまでに受賞された児童や保護者の方とお話しすると、作文や感想文が苦手だったという子がとても多いんです。そういった方たちから、映画が、映画感想文コンクールがそれを克服してくれたという言葉を聞くと、本当に嬉しいですね。 表彰式の様子(撮影=椿孝 写真左:三浦理高氏、写真右:2019年低学年の部グランプリを受賞した渡邊このみさん)   ーそして、今年は初めて春にも開催されるということですが 映画が「楽しく学べる」きっかけになるのであれば、私たちもなるべく広げていきたいという気持ちがあります。そんな中、ウォルト・ディズニー・ジャパンさんから春の開催にご協力頂けるというお話を頂き、今回、実現することができました。実はこれまでのコンクールの応募作品の中で、児童が最もその題材に選んでいるのがディズニーさんの映画なんですが、その応募数もさることながら、ディズニーの映画を楽しむだけでなく、学習という観点でも親しんでくれているということをディズニーさんも非常に大切に思って頂けて、今回のご協力に繋がりました。 ーこれまでのコンクールと違う点は 今回はディズニーさんのご協力の下、開催が実現しましたので、まずは対象作品がディズニーの映画になること、また応募資格が小学生のみとなることが挙げられますが、詳しくは公式HPなどをご確認頂けますと幸いです。作品につきましては、ディズニーさんの公式動画配信サービス「ディズニーデラックス」で配信されている作品をオススメさせて頂いておりますが、もちろん、ブルーレイやDVD、TVなどで観て頂いてもOKです。 ー「ディズニーデラックス」をオススメされるポイントは 現在、春の開催を企画したときには考えもしなかったことが起こっています。特に小学生の児童や保護者の方におかれましては、ご家庭で過ごす時間が長くなってしまう状況が予想されます。そういった環境下では、配信サービスである「ディズニーデラックス」は、ご自宅にいたままで楽しめる点、配信作品のすべてが年齢制限のない作品なので、児童がどの作品を観ても安心できる点、また、映画感想文コンクールで数多くの題材に選ばれた『アナと雪の女王』『トイ・ストーリー』『スター・ウォーズ』『アベンジャーズ』など、物語性やメッセージ性が非常に豊かで、男の子も女の子も楽しめる作品が多い点などが挙げられます。また、はじめての登録の方は初月無料という点も大きなポイントだと思います。お休みの期間に試してみるのには良いのではないかと思っています。 毎年、映画感想文のテーマに多く選ばれている映画「トイ・ストーリー」(C)2020 Disney/Pixar   ―ところで、受賞者の皆さんはどのような賞品があるのでしょう? 三浦:たくさん用意しています(笑)。グランプリの方には夏大会と同じく、副賞に加え、来年2月に開催致します「キネマ旬報ベスト・テン表彰式」にご家族でご招待させて頂き、壇上で児童の表彰を行わせて頂きます。そして、準グランプリ、特別賞の方には豪華なディズニーグッズを、さらご応募頂いた全ての児童に参加賞もご用意させて頂いておりますので、ぜひ、ご参加頂ければと思います。 豪華な賞品の数々(詳しくは公式ページにて)   ―最後に皆さんにメッセージがございましたら 三浦:本コンクールは「春休み」での開催を予定して進めておりました。私たちも開催時期の見直しなど検討いたしましたが、小学生の皆さんがご家庭で過ごす時間が多くなることが予想される中、映画を楽しみながら学ぶことを趣旨としている「映画感想文コンクール」を実施することで、少しでもご家庭での「楽しみ」と「学び」をサポートできたらと思い開催を決定いたしました。ただいまの情勢を鑑みて「応募期間」「応募資格」を一部配布済みの案内冊子から変更させていただきました。またこれからも期間の拡大や各賞の充実などを随時図ってまいりたいと思います。最新情報は本コンクールの公式サイトからご確認ください。全国映画感想文コンクール実施委員会は、映画を通じて皆さんの「おうち学習」を応援いたします。   【映画感想文コンクール2020 公式サイト】 https://wp.kinejun.com/eigakansoubun/ <映画感想文コンクール2020・春>の実施要項 【応募資格と文字数】 小学生の皆さん 低学年の部 1~2年生:400字以内 中学年の部 3~4年生:800字以内 高学年の部 5~6年生:800字以内 ※令和2年3月2日時点の在校生と4月から1年生の児童 【対象の映画】 ディズニー公式動画配信サービス「ディズニーデラックス」で配信されている作品を含むディズニーの映画。 【鑑賞方法】 おうちですぐに見られる「ディズニーデラックス」はもちろん、お持ちのDVDやブルーレイ、TVなどで見てもいただいてもOKです。鑑賞方法は問いません。 【応募期間】 令和2年3月2日(月)~5月15日(金) 5月15日(金)必着にて 下記の宛先まで郵送してください。 【宛先】 〒104-0061 東京都中央区銀座5-14-8 銀座ワカホビル5F (株)キネマ旬報社「映画感想文コンクール」事務局 ※令和2年3月2日時点で6年生の皆さんは個人応募で直接こちらにご提出ください。 ディズニー公式動画配信サービス「ディズニーデラックス」の加入方法はこちらからご覧ください。 主催:全国映画感想文コンクール実施委員会 協賛:ウォルト・ディズニー・ジャパン 後援:日本教育新聞社(ほか申請中) お問い合わせ先: 全国映画感想文コンクール実施委員会 Mail:eigakansoubun@kinejun.com   制作:キネマ旬報社
  • 誰も見たことのない香取慎吾を撮る 香取慎吾のアップが多い。しかも画面いっぱいに広がるほどの。 白石和彌監督作品「凪待ち」をDVDで見直してみて、改めて強く感じたことである。 「誰も見たことのない香取慎吾を撮る」。そんな意気込みでつくられたという本作がまず香取に与えたのは、彼がこれまでほとんど見せることのなかった〝陰〟の顔を持つキャラクター。ギャンブルにハマりそこから抜け出せず、その過程で周囲の人間に迷惑をかけながら、差し伸べてくれる手からも自分からも逃げる男、郁男、というのがそれだ。 郁男が根は善良で人の心がわかる人物だということは、冒頭で語られる川崎の印刷工場の同僚との交流や、その後に移り住む恋人の実家・石巻での生活の端々でさりげなく描かれはする。だが、もはやギャンブル依存症である郁男の表情のみならず全身から発せられるのは、自身を蔑む強烈な自己否定感。さらに、郁男のせいともいいきれないさまざまな困難を非情なまでに与え続けていくことによって、この物語はますます郁男の顔を、陰鬱な色合いで彩っていくこととなる。確かにこれまで一度として拝んだことがない顔。カメラがどんどん寄らずにはいられないほどの。しかしそれは〝誰も見たことのない香取慎吾の顔だから〟では、たぶんない。彼があの愛すべき慎吾ちゃんであることを完全に忘れさせる、郁男としてのときどきの真情がどの顔にも痛切に刻まれていたからだろう。 オーディオコメンタリーも充実。〝やさぐれた男が持つある種の色気〟 今回リリースされるDVDには、白石監督と香取慎吾、共演者のリリー・フランキーの三者によるオーディオコメンタリーが収録されているのだが、彼らが各重要シーンにおける香取の〝顔〟について感嘆するくだりは特に興味深い。さらにはリリー・フランキーが繰り返す、顔ばかりかその大きな体その他も含めて香取が放つ色気、つまり〝やさぐれた男が持つある種の色気〟に関するコメントは出色。本作における香取の仕事のみならず役者としての今後の可能性をも示すものとして、ぜひ耳を傾けていただきたい。 他に映像特典としていくつかの舞台挨拶の映像も収録。そこで、たわいのないQ&A等で見せるいつもの〝陽〟な姿も堪能できるが、香取の発言として聞き逃してほしくないのは、やはりコメンタリーの中の最後の言葉。そこには、国民的スターであり俳優であり、また一人の人間としての香取慎吾が、〝喪失と再生〟を描いたこの作品にどう向き合ったのかという真摯な言葉が、しっかり記録されているからだ。 文=塚田泉/制作:キネマ旬報社(キネマ旬報3月上旬号より転載) 『凪待ち』 ●3月3日(火)発売 豪華版Blu-ray 6,800円+税、豪華版DVD 5,800円+税 通常版Blu-ray 4,800円+税、通常版DVD 3,900円+税 ●2018年・日本・カラー・字幕 バリアフリー用日本語・本篇124分 ●【Blu-ray】16:9[1080p High-Def]スコープサイズ・2層・Dolby TrueHD 5.1chサラウンド(オリジナル)/Dolby TrueHD 2.0chステレオ(オーディオ・コメンタリー) 【DVD】16:9LBスコープサイズ・片面2層(一部片面1層)・ドルビーデジタル5.1chサラウンド(オリジナル)/ドルビーデジタル2.0chステレオ(オーディオ・コメンタリー) ●監督/白石和彌 脚本/加藤正人 ●出演/香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキー ●特典映像/[特典ディスク]メイキング映像、完成披露試写会、初日舞台挨拶、全国中継舞台挨拶(※豪華版のみ)[本篇ディスク]劇場版予告篇 音声特典/オーディオ・コメンタリー(香取慎吾×リリー・フランキー・白石和彌監督) 封入特典/特製ブックレット(24P)、クリアケース仕様(※豪華版のみ) ●発売/キノフィルムズ/木下グループ 販売協力/ハピネット・メディアマーケティング ©2018「凪待ち」フィルムパートナーズ
  •   毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開でありながら傑作といった、様々な掘り出し映画との出会いを映画専門家レビューと共に提供します!     YOSHIという未知なる原石 映画『タロウのバカ』 ハピネットより3月3日リリース (C)2019 映画「タロウのバカ」製作委員会 映画『タロウのバカ』あらすじ 戸籍すらなく一度も学校に通ったことのない少年“タロウ”は、高校生のエージ、スギオと自由奔放な日々を過ごしていた。そんなある日、偶然にも一丁の拳銃を手に入れたことをきっかけに、彼らの日常が変化していく。   映画『タロウのバカ』映画専門家レビュー 自由という檻の中でその長い手足を持て余しながら街をぶらつく少年YOSHIと、彼と触れ合うことである種の優越感を得ながらも、社会の淵にしがみ付く高校生に扮した菅田将暉と仲野太賀。歳やキャリアは違うものの、完璧な哀歓の共鳴を見せる3人の姿が眩い。世間でいう“問題児”を通して直視する社会の闇、ニグレクト、援助交際など、描かれる題材こそ目を背けたいものはあるが、たとえ薄汚れた服を着ていても、どこか澄んだ物語を纏ってしまうYOSHIが放つ未知の輝きに魅せられてしまう。     マトリと狂人たちの演技合戦 映画『毒戦 BELIEVER』 ギャガより3月3日リリース (C) 2018 CINEGURU KIDARIENT & YONG FILM. All Rights Reserved. 映画『毒戦 BELIEVER』あらすじ 麻薬取締局のウォノ刑事は、素性が謎に包まれた麻薬王の“イ先生”を長年追っていたが、未だにその存在を掴めないでいた。ある日、麻薬製造工場が爆破されると、事故現場からラクというひとりの生存者が発見され……。   映画『毒戦 BELIEVER』映画専門家レビュー 麻薬捜査官と麻薬組織の捨て犬である青年がタッグを組み、麻薬中毒者の巣窟である狂人区に大潜入。奴らのギラギラした目に負けじと自ら麻薬を吸って死にかけるチョ・ジヌンの男気には感服。狂人たちそれぞれの演技も最高で、残念ながら本作が遺作となった名優キム・ジュヒョクの狂いぶりには目を見張る。残虐なクリスチャンを演じるチャ・スンウォンも破壊力抜群で、結果恐い人しか出てこない感はあるが、ここまで振りきれると爽快。最後に明かされる“イ先生”の正体にも……頭が下がります。     誰もが何かを秘めた果ての真実 映画『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』 インターフィルムより3月4日リリース (C) 2018 Warner Bros.Entertainment Italia S.r.l.- Picomedia S.r.L.  映画『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』あらすじ 愛人の写真家の殺人容疑で追及を受ける実業家のアドリアーノ。そんな彼の前に、これまで敗訴したことがないという敏腕弁護士のフェラーラが現れる。彼の無実を勝ち取るために、彼女は驚愕の手法で事件の真相を語らせ始めた。   映画『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』映画専門家レビュー 無実を勝ち取りたい男と無敗の女弁護士による、静かに火花散る攻防が見応えの会話劇。密室殺人のトリックと、男と愛人に何があったのかが次第に明らかになる中で、序盤は完全に嵌められた哀れな被害者だったはずの男が、事件の前のある出来事を告白したことで様相が一変。守秘義務がある中で暴かれる真実に驚き、さらに驚愕のラストが待ち受けます。一面的に語られる話に見事にミスリードされ、まんまと騙される重厚なサスペンス。思わず唸るこの結末はさすがに想像できません。     これぞ、掘り出し物の傑作! 映画『FREAKS フリークス 能力者たち』 アット エンタテインメントより3月4日リリース (C) 2018 ABNORMAL DEFENSE FORCE INC. 映画『FREAKS フリークス 能力者たち』あらすじ 父に外出を禁じられ、一度も外に出たことがないまま育った少女・クロエ。ある日外の世界に興味を持った彼女は隙を見て家を抜け出し、ある老人に出会う。そこで自らがもつ特殊能力や母親の存在を知ってしまい……。   映画『FREAKS フリークス 能力者たち』映画専門家レビュー スピルバーグ監督によるクリエイター発掘番組でファイナリストに残った監督ふたりが手掛けた本作。さすが巨匠が認めたというだけあって、その世界観と練られた展開には脱帽。身を隠して生きる能力者の親子を軸に物語が進んでいくが、時にそれは心温まる家族映画にも思えるほどドラマ要素もぬかりない。監禁された母を救おうと一致団結した父娘と祖父が、それぞれの能力を駆使して立ち向かうその姿にSF映画としての興奮を感じつつ、彼らの美しい家族愛に、気付けば涙しながら見入っていた。     人生を変えたヘンテコな旅 映画『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』 TCエンタテインメントより3月6日リリース Brio Films (C)Sebastien Bossi (C)2018 Copyright BRIO FILMS-SCOPE PICTURES-LITTLR RED CAR-TF1 AUDIOVISUELS-SONY PICTURES ENTERTAINMENT FRANCE All rights reserved. 映画『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』あらすじ 本当の父親に会うため、祖国インドからパリに向かった青年・アジャ。お金も宿もなく、ある家具店のクローゼットの中で眠りについた彼だったが、真夜中にそのクローゼットごとロンドンに向けて発送されてしまう。   映画『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』映画専門家レビュー 母の遺灰、パスポート、そして100ユーロの偽札だけをお供にパリへと向かった青年・アジャ。着いて早々タクシーにぼったくられたり、宿代わりにした家具店のクローゼットがまさかのイギリスに運ばれて難民扱いされたりなど、続々とハードな展開が巻き起こるが、そこで目にする景色や人々との出会いによって彼の世界は次第に広がっていく。各国の美しい名所とインド人さながらのノリノリなダンスを楽しみつつ、彼と共に“大切なもの”にたどり着くことができる、珠玉のロードムービーです!   迷える男女の愛と再生の物語 映画『ガーンジー島の読書会の秘密』 キノフィルムズ、木下グループ/キングレコードより3月11日リリース (C) 2018 STUDIOCANAL SAS 映画『ガーンジー島の読書会の秘密』あらすじ ロンドンで暮らす作家のジュリエットは、大戦中にガーンジー島で行われていた読書会を取材するために島を訪れる。しかし、その会の創設者であるエリザベスには会えず、やがて彼らが重大な秘密を隠していることに気付く。   映画『ガーンジー島の読書会の秘密』映画専門家レビュー 戦時中にドイツの占領下にあったイギリスの島で行われていた、読書会の記事を書こうとした作家が、その創設者を探すうちに図らずも自分自身を見出していくというお話。ヒロインの作家を演じるのはリリー・ジェームズ。役を自分の方に引き寄せるタイプの役者で、聡明で茶目っ気のある華やかさを持つ、可愛らしい女性を好演。読書会の創設者の行方を巡る秘密と共に、その過程で自分を見つめ直していく作家の、婚約者と島の男性との間で揺れ動くロマンスの行方も最後まで楽しめます。   ■前回の誰シネはこちらから
  • ある女との出会いで崩壊する男の日常と、 堕ちていく男女の非情な運命を深田晃司監督が切り取る 「本気のしるし」   約20年温めた映像化への想い ―観る者をザワつかせるタッチで「淵に立つ」(16)や「よこがお」(19)といった鮮烈な作品を放ち続ける深田晃司監督。鬼才として国外でも注目される彼が初の連続テレビドラマ、初の“コミック原作もの”に挑んだのが「本気のしるし」だ。星里もちるによる原作は2000年に発表されているが、当時からテレビドラマにすべきだと考えていたという。   深田:「原作と出会ったのは、20歳を過ぎた頃。もともと星里先生のラブコメが大好きだったのですが、『本気のしるし』は従来のコメディ色を排除したシリアスな恋愛ものになっていてとても驚いた。当時は映画美学校で映画制作を学んでいただけに映画にしようと考えそうなものだけど、これは物語の転がし方がテレビの連続ドラマ向きだなと強く感じたんです。 それで友人やプロデューサーの方々と雑談するたびに『映像化したら面白い漫画がある』と教えていたら、『淵に立つ』(16)を一緒に作った制作会社の社長が漫画を読んで『面白い』とメ~テレに企画を持ち込んでくれて動き出しました」   ―勤務先の先輩と後輩の二人と関係を持ちながら平然としている“クズ男”辻一路。そんな彼が深夜のコンビニで葉山浮世と出会ったばかりに、それまでの日常が徐々に崩壊していく。一見すると“悪女もの=ファムファタール”にみえるが違うと断言する。 深田:「自分ではそう思ってはいないし、そうはしたくなかった。男を破滅に導く女というのはあくまで男性目線での考え方で、男が女性に同じことをするとプレイボーイと呼ばれてどこかポジティブな雰囲気が漂う。原作はそうした男女間にある不条理や不平等を巧みに突いているんです。男をドキッとさせてみたり、守ってやろうと思わせたりする言動というのは、あくまで男性社会のなかで女性が生き抜くための術みたいなもの。それを身にまとってしまった、身にまとわざるをえなかったのが浮世というヒロイン。これは原作の妙味でもあるんですが、男受けのするラブコメの典型的ヒロインが現実の世界に現れたらどうなるのかを描いてもいるんです。そこに強く惹かれたし、撮ってみたいと思わされたんです」       ―地上波のテレビドラマであろうとも深田監督ならではの不穏さを極めた演出はしっかりと繰り出されており、彼の作品を語るうえでは欠かせない“水”も辻が飼うザリガニを入れた水槽として登場する。 深田:「演出に関しては、これまでの映画と変わらずに撮っています。だから、BGMを使わずに辻が飼っているザリガニの入った水槽のエアーポンプ音やヘリコプターの音を印象的に用いたりして、僕の癖みたいなものは出ていますね。水槽は置く予定がなくて、苦肉の策として用意しました。というのは、辻の住居として撮影するつもりだった部屋の窓ガラス越しに、彼と職場の先輩女性を会話させるという演出プランを考えていたけど、そこで撮れなくなってしまった。新しく準備した部屋の窓はすりガラスだったんですよ。どうしても決めていた演出で撮りたくて、水槽越しだったらイケるんじゃないかって思いついた。モチーフめいたものではなかったけど、水にまつわるものが一個部屋にあるだけで映像的にすごく豊かになる。いつも自分が水辺を出すのは哲学的な意味があるというよりは、水がカメラにとって美味しい被写体だから」   難航したヒロインのキャスティング ―演出のみならず、キャスティングに関しても自由にすることができた。 深田:「辻を演じた森崎ウィンさんも浮世役の土村芳さんも、オーディションで選ばせてもらいました。どちらの役も同じ3つのシーンを読んでもらって、ウィンさんは台詞の解釈の旨さ、柔軟性みたいなものが誰よりも飛び抜けていて、早い段階から彼に決めました。静かな場面も声を荒げる場面もきちんと対応できるし、一本調子にならずに自分の言葉でちゃんと喋ることができる。率先して演技プランのアイデアも出してくれる姿勢も素晴らしかった。浮世役は難航しましたね。たくさんの人にオーディションに来てもらって、ファミレスで辻をドキッとさせる場面を読んでもらうんだけど、どうしても恋愛における男女の駆け引きみたいなものになってしまう方が多い。浮世ならではの無意識に無邪気に男を戸惑わせてしまう感じが、見える女優さんがなかなかいなかった。土村さんは、最もそこを見せてくれたんです」   ―初めての連続テレビドラマに身構えた部分もあったそうだが、それは杞憂に終わった。 深田:「取り掛かる前はテレビドラマっていろいろと制約があるのかなって考えていたけど、意外にも自由にやらせてもらえた。30分ごとに物語を転がしていくというテレビドラマ独自の時間感覚とスタイルによって、映画とは違った面白みを得られたと思っています。スタッフやキャストに恵まれたとも思います。なにかやりたい企画があれば、また同じメンバーでやらせてもらいたいですね」         深田晃司 ふかだ・こうじ:1980年生まれ、東京都出身。大学在学中に映画美学校で映画制作を学び、劇団『青年団』に入団し、演出部で活躍する。2010年の「歓待」で東京国際映画祭の日本映画〈ある視点〉部門作品賞や、プチョン国際ファンタスティック映画祭最優秀アジア映画賞を受賞し注目を集め、「ほとりの朔子」(13)、「さようなら」(15)などを監督する。「淵に立つ」(16)ではカンヌ国際映画祭〈ある視点〉部門の審査員賞に輝くなど、国際的な評価を得ている。近作は、「海を駆ける」(18)と「よこがお」(19)。   文=平田裕介/制作:キネマ旬報社(キネマ旬報3月上旬号より転載)     「本気のしるし」 ●3月3日発売 ●DVD-BOX(4枚組)8800円+税 ●監督/深田晃司 ●出演/森崎ウィン、土村芳、宇野祥平、石橋けい、福永朱梨、忍成修吾、北村有起哉 ●2019年・日本・カラー・16:9LB・音声1・日本語(ドルビーデジタル5.1chサラウンド)・本篇237分(全10話) ●音声&映像特典(74分)/オーディオ・コメンタリー【7話分/森崎ウィン、土村芳、深田晃司監督他】/メイキング/上映会舞台挨拶/ロールナンバーセレクション集/次回予告 ●発売・販売元/ギャガ (C) 星里もちる・小学館/メ~テレ