テリー・ギリアムの単独初監督作である中世ファンタジック冒険コメディ「ジャバーウォッキー」(77)が4K化。7月1日(金)よりシネマート新宿ほかで全国順次公開される。
モンティ・パイソンの一員にして「未来世紀ブラジル」(85)「バロン」(88)などの鬼才テリー・ギリアムによる単独長編監督デビュー作「ジャバーウォッキー」。ルイス・キャロルのナンセンス詩をもとに、パイソンズのマイケル・ペイリン主演で、ある王国を舞台に凶暴な怪獣退治に巻き込まれた青年の活躍をブラックユーモア満載で描く。
日本では1980年の劇場公開後にビデオ発売されたのみで、鑑賞困難な“隠れた名作”として公開希望の声が上がっていた。元の素材は劣化が進んでいたが、このたび本作の大ファンであるマーティン・スコセッシとジョージ・ルーカスが出資し、4Kレストアを実施。テリー・ギリアムもスーパーバイザーとしてレストアを承認している。
テリー・ギリアムのコメント
「ジャバーウォッキー」は、わたしにとって初めて“自分の作品”と呼べるものでした。
テリー・ジョーンズと共同監督した「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」(75)の成功が、わたしにモンティ・パイソンから自由になる機会を与えてくれたのです。
ルイス・キャロルの詩「Jabberwocky」にあるナンセンスな言葉の数々がわたしの頭の中に奇妙で素晴らしいイメージを呼び起こし、それを映画にしたいと思いました。
そして、中世を説得力のある世界として作ることは、わたしにとって不可欠でした。観客に、老朽化した世界の匂いを感じてもらいたかったのです。貧しく貪欲な商人、強大な鎧をまとった騎士、混乱した王や、王国を脅かす恐ろしい怪獣がいて、傾いた古代の建造物があり、狂った宗教家もいる。世界の信憑性が高ければ高いほど、コメディとしての完成度も高くなると思っています。
ですが、この映画は単なるコメディとしてだけではなく、アクションやロマンスがあるものにしたいと思っていました。とは言え、ハッピーエンドのおとぎ話のように見えつつ、アイロニー(皮肉)はたっぷり込めています。
わたしの頭の中にしか存在しない世界を説得力のある形で表現する技術と能力を持ち、その結果として世界中の観客に喜びを与えることができる、自分は本物の映画監督だと信じ始めたのは、「ジャバーウォッキー」を振り返ったときだったと思います。
わたしが皆さんのために楽しんで作ったように、ご覧になる皆さんがこの作品を楽しんでくださることを願っています。
Story
村娘に片思い中の純朴な青年デニスは、樽職人だった父の死をきっかけに仕事を求めて街へ出ることに。一方、とある王国では凶暴な怪獣の出現に困っていたブルーノ王が、退治できる屈強な騎士を探そうとトーナメント大会を開催。デニスは偶然王国に足を踏み入れ、トーナメント戦に巻き込まれる……。
「ジャバーウォッキー 4Kレストア版」
監督:テリー・ギリアム
製作総指揮:ジョン・ゴールドストーン
脚本:チャールズ・アルヴァーソン、テリー・ギリアム
出演:マイケル・ペイリン、ハリー・H・コルベット、ジョン・ル・メスリエール、ウォーレン・ミッチェル、マックス・ウォール、ロドニー・ビューズ、ジョン・バード、バーナード・ブレスロウ、テリー・ギリアム、ニール・イネス、テリー・ジョーンズ
1977年/イギリス/106分/アメリカンビスタ/5.1ch/DCP/原題:Jabberwocky/字幕:落合寿和
配給:アンプラグド 提供:是空
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