妊婦と助産師、新たな命を待ちながら過ごす日々に密着した「1%の風景」

 

助産所や自宅での出産を決めた4人の女性と、サポートする助産師の日々を見つめ、あいち国際女性映画祭2023(9月開催)で国内招待作品として上映されるドキュメンタリー「1%の風景」が、11月11日(土)よりポレポレ東中野ほかで全国順次公開される。

 

 

あまり知られていない助産所という場所。そこでは一人の助産師が医療機関と連携し、妊娠から出産、子育ての始まりまで一貫して母子をサポートしている。妊婦と助産師は時間を重ねて信頼関係を築き、命が生まれようとする “その時” をともに待つ。

99%のお産が病院や産院といった医療施設で行われている日本で、助産所や自宅での出産という《1%の風景》にカメラを向けたのは、これが初監督作品となる吉田夕日。

映画で描かれるのは助産所や自宅での自然分娩だが、大切なのは場所や方法ではなく、命を産み、育てようとする女性のそばに、信頼できる誰かがいること。“命の風景” を見つめた4年間の記録となる。

 

 

 

〈コメント〉

吉田夕日(本作監督)
この映画は、病院で第一子を出産した私が、第二子を助産所で出産したことから始まりました。助産所での日々は、それまでの人生とは別の景色の中にいるようで、一日の時間の流れも、口に入れる食事の温かさも、耳にする音も、匂いも、何もかもが特別でした。また、いつでも頼れる助産師がそばにいてくれる安心感と心強さは、産後の不安や育児の悩みを抱える私たち家族に精神的、身体的な安定をもたらしてくれました。それまでほとんど知る機会のなかった“助産師”の世界をもっと知りたい。私は、生後6ヶ月の息子を背負いながら、カメラを手に助産所に通い始めました。撮影を続けて3年が過ぎた頃、新型コロナウイルスの流行が始まり、外出することさえ儘ならなくなった時も、助産師は妊婦の身体に触れ、会話をし、お産に向き合う姿勢が変わる事はありませんでした。目の前の妊婦一人一人に向き合い、命が生まれるまでを見届ける姿に、私は撮影をしながらずっと勇気づけられていました。この作品で描かれるのは、1%の選択をした4人の女性と助産師が過ごすささやかな日々です。そして小さな命がこの世に生まれるのを、信じて待つ時間です。世界がどんなに変わろうとも、女性が命を授かった時、寄り添う誰かがいてくれますように。そんな願いを込めて作ったドキュメンタリー映画です。

稲葉俊郎(医師、医学博士)
どんな人も「いのち」が宿り「お産」を経由して、こうして存在している。そういう意味で、自分が「いのち」を授かったことを改めて考え直すきっかけにもなるだろう。「日々のお仕事の中で、映画の中で語り得ないこともたくさんあるかと思います。いつも大変なお役目を引き受けいただきありがとうございます。」と映画を観た後に言葉が漏れ出てきた。この映画であなたは何を感じただろうか。

繁延あづさ(写真家)
産む人と、そばにいる人と、うまれてくる赤ちゃんと。笑い声、唸り声、泣き声が居合わせるこの風景が好きだ。今を超えていく、あたらしく生まれだす風景。私もここから始まった。

 

 

「1%の風景」

出演:渡辺愛(つむぎ助産所)、神谷整子(みづき助産院)、菊田冨美子、飯窪愛、山本宗子、平塚克子
監督・撮影・編集:吉田夕日 撮影:伊藤加菜子 音楽:高田明枝 マリンバ演奏:布谷史人 サウンドエディター:井上久美子 製作:SUNSET FILMS 後援:公益社団法人日本助産師会 配給・宣伝:リガード
2023/日本/106分/DCP/ドキュメンタリー
©2023 SUNSET FILMS
公式サイト:Josan-movie.com

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