「魅せられて(1996)」のストーリー

ルーシー(リヴ・タイラー)は詩人だった母サラの自殺後、トスカーナ地方に住む母の旧友たちを訪ねる。理由のひとつは20年来ここに住んでいる彫刻家イアン(ドナル・マッキャン)のモデルを勤めることだが、自分の本当の父を探すという目的もあった。イアンと妻ダイアナ(シニード・キューザック)の所には娘ミランダ(レイチェル・ワイズ)とその愛人リチャード(D・W・モフィット)や人気人生相談のノエミ(ステファニア・サンドレッリ)、画商のギヨーム氏(ジャン・マレー)、それに白血病で余命いくばくもない作家のアレックス(ジェレミー・アイアンズ)らも逗留している。ルーシーはアレックスに親しみを感じ、自分がまだ処女であることなどを打ち明ける。アレックスは彼女と会って生気を取り戻す。数日後、夫妻の息子クリトファー(ジョゼフ・ファインズ)とその親友ニコロ(ロベルト・ジッティ)がトルコ旅行から帰ってきた。ニコロは実は彼女の初恋の人で、一目で彼女に関心を示す。一方その弟のオスヴァルド(イグナッツィオ・オリヴァ)は居心地が悪そうだ。ルーシーは母の知人だった戦争記者のカルロ(カルロ・チェッキ)やアレックスこそ実の父ではと思うが、どちらも違うようだ。ニコロやリチャードがルーシーに迫るが、彼女は拒絶。ニコロたちの家で毎年好例のパーティーがある。ルーシーはこれみよがしに英国人の男を家に連れ帰るが、アレックスたちに見せつけておきながらその実、別々のベッドで寝ただけだった。翌朝、アレックスの病状が急変し、皆に永遠の別れを告げて病院に運ばれる。ミランダはリチャードと別れる決心をした。イアンがルーシーをモデルに彫っていた作品が完成、彼女は実はイアンこそ父であったことを知る。その日の夕方、オスヴァルドがルーシーに五年前から彼女が好きだったこと、彼女がニコロからだとばかり思っていた恋文が実は自分のものだったことを明かす。大きな木の麓で、彼女は彼と初めての性を体験した。翌朝、彼は彼女と一緒にアメリカに行くことを約束し、「僕も初めてだったんだ」と告げた。