「風が吹くとき」のストーリー

平和な英国の片田舎。ジム(森繁久弥)とヒルダ(加藤治子)は、残りの人生の後半を思い出の中で過ごす。二つの世界大戦をかいくぐり、子供を育て上げて、今は年金ぐらし。外世界との接触は、ラジオとTVと新聞位の二人は、ある日、戦争が起こったことを知る。ジムたちは、早速、政府発行のパンフレット通り、家のドアを取りはずして室内に簡易シェルターを作り、窓に白ペンキを塗ったり、前戦争のことを思い出して、グチをいい合いながら準備を進める。そして、ラジオは後三分で核ミサイルが飛来することを告げた。急いでシェルターに入る二人。落ちる原爆。すさまじい熱風が吹き、家の中はガレキと化すが、二人は生きていた。政府のパンフレットに従って、初めはシェルター内にいた二人も、室内なら大じょうぶだろうと、ガレキを片づけ始める。政府がいずれ救援隊をさしむけるはずと、安心している二人。だが、二人の身体は放射能に冒され始める。めまい、下痢、抜髪……衰弱していく二人は、シェルターの中で、抱き合うようにして、救援隊が来ることを信じて待つ。だが、訪れたのは二人の死だけだった--。