「ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー」のストーリー

一九一五年一月。フランス領赤道アフリカのクーレ砦には、総勢九人のフランス人が黒人たちと共に住んでいた。砦の中には雑貨屋が二軒あり、レシャンポ(J・デュフィロー)とカプリス(M・バリエール)がその主人だった。植民地駐屯軍としてはボスレ軍曹(J・カルメ)がただ一人。それに神父が二人、地理学者のフレノワ(J・スピエセール)、レシャンポとカプリスの弟や妻らで、のんびりと生活していた。彼らが住むクーレ砦から、徒歩で一日のところにドイツ軍が駐屯しており、士官一人に兵隊二人が黒人兵五人からなる原地徴集部隊を指揮して常日訓練にはげんでいた。彼らは頻繁にクーレ砦を訪れ、国籍こそ違うが、よき隣人であった。しかし、それはフランス人たちが、両国が戦争中であるという事実を知らなかったからであった。フレノア宛の小包から、第一次大戦のことを知り、たちまち愛国精神をむきだしにする。この時点から愛国者たちに突きあげられた格好で、ボスレ軍曹はクーレ砦を戦時下として彼の指揮下におくことを宣言する。敵側には、訓練に励んでいる黒人兵が数名おり、フランス側も早速黒人兵を編成する。レシャンポ兄弟やカプリスたちも戦場へ出むくが、男は一張羅の背広にカンカン帽、女はドレス姿。黒人たちにかつがせた御輿に乗ってまるでピクニック気分だった。その夜、戦略的に展望の持てなくなったボスレに変わりフレノワが引き継ぐことになり、その指導性がみごとに発揮されていく。既に独裁者となったフレノワはドイツ領との境界を越えて軍隊を出動させたが、次々に病人や死者を出してしまう。しかし、既に、当地が英国領となることが決まり、アフリカでの戦争は終りを告げる。クーレ砦のフランス人たちは、久方ぶりにドイツ人との再会を喜び合い、酒をくみ交し合った。黒人たちにとっては住んでいるところがドイツ領やフランス領だったのがイギリス領になったというだけのことで、白人たちにとっては国籍は違ってもやはり白人同士なのだった。