「フォーミュラ・ワン」のストーリー

モナコ・グランプリ、カナダ・グランプリと、たてつづけに常勝グラハム・ヒルに敗れたペリシエ(G・バゲッティ)を主将とする“クリッパー”チームのマネージャー、ドノバン(F・レッセル)は、イギリスの若さレーサー、ジャコモ・バリ(G・アゴスティーニ)を戦力増強のため引き抜いた。これを心良く思わないのは、同チームのスターク(B・ハリス)であった。そうした折、パリでの最初のレースで、バリの無暴な運転のため、ベリシエが負傷してしまった。しかし、これをなじるスタークをしりめに、バリはグラハム・ヒルの勇姿を夢見るのだった。次のレースはアメリカ・グランプリだった。これにすべてをかけたペリシエは、不運にもレース場を血にそめて息たえた。この事件はバリを心痛の底に追いやったが、それをやさしい愛撫でなぐさめてくれたのは、スタークの恋人のグラディス(O・ベローワ)であった。しかし不運はかさなり、バリはある事件のためチームを追放になってしまった。頼る人がいなくたったバリの前に、その時、ひとりの救世主が現われた。それは、カー・エージェントのシェンカー(H・V・ボルソディ)であった。彼から提供されたニュー・レーシング・カーに乗って、バリはイタリア・グランプリに出場した。赤のボディNo.4のバリ、青のボディNo.20のスターク。宿命のフラッグは、母、恋人、友人そしてペルシェの幻が浮かぶ彼等の目前で、切っておとされた。すさまじいデッドヒート、激しい接触。先頭をきって栄光のゴールを走りぬけたのは、赤いボディのNo.4だった。