「デリカテッセン」のストーリー

核戦争から15年、生き残りの人々が食料をあさり合う荒廃したパリの街はずれ、職を求めてルイゾン(ドミニク・ピノン)はこのデリカテッセン(肉屋)にやってきた。ところが店の主人(ジャン・クロード・ドレフュス)はこうしてカモをおびき寄せては肉にしてしまう恐しい男。その娘で心優しいジュリー(マリー・ロール・ドゥニャ)は一目見て気のいいルイゾンに好意を寄せ、またしても犠牲者が増えるのが堪まらず、反体制の菜食主義者たる“地底人”たちと手を結んで秘かにルイゾン救出作戦に乗り出す。ところでこのデリカテッセンの上はアパルトマンになっているのだが、住人たちは各れ劣らぬ強者揃い。今や遅しとルイゾンの肉を待ち受けているだけに、突然侵入してきた地底人たちと上を下への大騒ぎ。もちろん一番手強いのは親父だ。風呂場に水を溜め、アパートを大洪水にするというルイゾンの最後の一手も失敗し、ついにルイゾンとジュリーに親父の手が迫る。しかし危機一髪、ルイゾンから奪って親父の放ったブーメランは逆に親父自身の額にめり込んだ……。騒ぎの収ったアパルトマンの屋上で平隠を楽しむルイゾンとジュリーの姿があった。