「夕焼童子 二部作」のストーリー

第一部・出羽の小天狗--戦国時代、槍の名人登舎庄五郎の指揮する佐竹軍の「二度払いの手」に破れた出羽軍は、籠居していた槍の名手大内無辺を起用し、その「乱突受手」の戦術でようやく落城をまぬがれた。鮭突き飄吉は槍術に優れ、夕焼童子と仇名されたが、幼馴染の千代と別れて無辺の弟子となり、佐竹軍の密使で「乱突受手」の極意をさぐる為やって来た妖術使勾坂熊太郎を追い払った事から、無辺の籠愛を受ける様になった。夕焼童子は庄五郎に試合を挑み、その秘法を見破るが、勾坂熊太郎のひきいる野武士の一団に捕えられた。第二部・暁の槍騎隊--捕われた夕焼童子は、いたち婆から自分が無辺の子であることを明され、無辺もそれを知らされて驚くが、一方庄五郎も妹の早苗の手引きでこの事実を知り、熊太郎を訪れて早苗と熊太郎との縁組の交換に、夕焼童子の引渡を要求した。その酒宴の折、いたち婆は庄五郎に毒を飲ませようとし、見破られて熊太郎と共に殺された。この騒ぎに夕焼童子は脱走し、庄五郎はこれを追って無辺の館に迫ったが、庄五郎は夕焼童子の槍につきふせられ、輩下の槍騎隊は全滅した。父子の対面をとげた夕焼童子は、無辺にかわって出奥軍の総大将となった。