「禁断の女」のストーリー

巴里に時めく女優ディアネ・ソレルは、その美しさと若さを以て、数多くの憧憬者を牽引けて居た。気軽で、楽天的な彼女は、尽きぬ愛敬を振撒いては、自ら楽しみとして居た。彼女に言い寄る男も多かったが、彼女はいつも風に柳と受け流していた。アンドルー・ド・クレルモンと云う名門の後裔もそうした男の一人であった。彼は妻のある身で激しくディアネに言寄った。ディアネは体よく跳ね付けたが、その結果は彼の自殺と成り、ディアネは法の制裁こそ受けなかったが、之が為あらぬ汚名を被せられて、ここに初めて人生の苦さを経験した。彼女は忘却と慰安を求めて、海を越えて米国へ静養がてら招聘に応じて来た。ここで、ディアネはマルコム・ケントと云う若い作家と懇意に成り、二人の間には次第に美しい恋の芽が萠え出した。それはディアネの知った、最初の、そして真の恋であった。二人の中には一時忌わしい誤解も生じたが、間もなくそれも解けて後は、二人は前にも増した楽しい間と成る事が出来た。