「撃てばかげろう」のストーリー

かつて高校球児で甲子園に出場した経歴を持つ柏木孝史は、現在は今井睦連合会組員で、両親もなく、妹のゆり子とたった二人きりで暮らしていた。そんな孝史とゆり子の事をいつも気にかけてくれる孝史の兄貴格であり、末端幹部の海老塚。ある日、ゆり子が交通事故に遭った。幸いかすり傷ですんだものの、海老塚は縄張りのクラブ“ブルーパール”へ孝史を呼び出すとなけなしの10万円を見舞い金としてもたせた。翌日、海老塚に礼を言おうと“ブルーパール”を訪れたゆり子に、対立する大日本竜神会の組員がからんでくる。幹部の村田に雇われた鉄砲玉で、抗争のきっかけをつくろうとしているのだった。竜神会の挑発はエスカレートし、若頭・根岸を狙われた今井組は大日本竜神会会長の古希の祝いの情報を仕入れると、一気に会長を狙って返り討ちに出ようと準備を始めた。その話を聞いた孝史は、海老塚に頼み、拳銃片手に銀座のクラブへ向かい、会長の大岩に銃弾を浴びせるのだった。孝史は九州・宮崎へ高飛びし、そこでかつての野球仲間と再会。孝史は母校が甲子園に出場したら必ず応援に行くことを約束してそこを立ち去った。そのころ横浜では、竜神会の報復戦が始まり、今井組幹部らが次々と狙われ殺されていった。孝史には逮捕状が出され、新聞でそれを知った孝史は、宮崎を逃れて広島へ移り、諸沢という赤ちょうちんの主人にかくまわれる。一方、報復戦は激化し、余儀なく解散の状況に追い込まれた今井組は、他の連中の命を救う為に孝史を始末せざるをえなくなる。そうとは知らない海老塚は、和解の話がついたと言って孝史を呼び戻し、二人は今井組の銃弾によって散っていくのだった。