「死美人事件」のストーリー
トランク詰めの死美人!謎の怪事件をめぐって捜査本部では主任久保田、刑事岡山、辻井が必死の捜査を開始し、死美人の死因が毒ガス中毒であることからかつて薬物犯罪の権威であり、今は引退している富永佑策の協力を依頼したが、佑策は息子道彦も近く香川由紀子と結婚することだし、もう仕事にのりだす気持ちなく、後輩の奥村を推せんする。奥村は現在興信所を開いており、その捜査に協力することになった。久保田たちは死美人の家をつきとめて乗りこんでみると意外にもそこにはもう一つ男の死体があった、死美人は藤原美砂子、男はその情夫だということもわかった。その夜そこへ一人の男がひそかにやってきて張り込み中の久保田らの網にかかったがレンコートをのこして逃走した。翌日奥村は警視庁に来てレンコートを見、そのポケットから毒ガスのアンプルのカケラをとり出し、レンコートの持主が痴情の果て女と情夫を殺したのだ、と断定した。レンコートは意外にも佑策のせがれ道彦のものと判明し、道彦は引かれた。佑策は驚がくし真犯人は外にあると叫んだが、証拠の前には如何ともしがたく道彦は死刑を宣告され、今は死刑執行の日を待つばかり。道彦は何故か口をつぐんでいた。そのころ歌手の春山ユミが舞台で殺害されかかり、由紀子が誘かいされた。その直前由紀子の母の口から由紀子は由緒ある大友家の娘であるといわれた。大友家の両親は死に絶え、系図には美砂子、由紀子、春山ユミともう一人立花澄子がのっていた。そして大友家の遺産五千万円がその四人のだれかの手に当然入る運命になっていた。道彦の死刑執行の日、佑策の血の出るような探査によりついに真犯人は奥村であるという事実がバクロした。すなわち奥村は遺産相続問題を引きうけその遺産が自分の情婦立花澄子のほか三人のものとならねばならぬことを知ったとき、他の三人の殺害をはかったのだ。道彦は死美人美砂子と以前に関係があったため、今は由紀子を心から愛している苦しさに美砂子と完全に手を切ろうと美砂子を訪れたことが、奥村のワナに入ることとなって、二重殺人のえん罪を着せられたのだ。美砂子もその情夫も奥村が殺害したのだった。すべては明るみに出され、道彦は新しい由紀子との愛に生きることを誓うのだった。