「爆走!ムーンエンジェル 北へ」のストーリー

“カミオンのマドンナ”こと女性トラッカーの葛西ルナは、押しかけ弟子の和美とともに、今年も北海道に出稼ぎに向かった。釧路では敬愛する“幣舞の鶴姫”こと喜代子と息子の治虫に会うのが毎年の楽しみだったが、おしどり夫婦だった喜代子が離婚して以来、治虫が一言も口をきかなくなっていたことに、ルナはショックを受けた。ルナは北海道での仕事をてきぱきとこなしていたが、普段からルナをライバル視して挑発してくる“レゲエの夏子”が偶然現れ、ふたりは女の意地を賭けて勝負をする。途中で兵藤という警官の検問を受けたルナは、積荷の一部を没収されそうになるが、そこへ通りかかった如月大五郎と名乗る男に助けられた。そんなころ、喜代子のデコトラが改造車の取り締まりに引っ掛かり、兵藤に取り上げられてしまった。ルナは釧路署へ談判に乗り込むが、そこには兵藤という警官などいなかった。どうやらニセ警官を装って積荷を取り上げ、ロシアに売りつけている密輸団が横行しているらしい。そして、和美がルナのデコトラで運転の練習中に、夏子と一緒に兵藤一味にさらわれた。事件を目撃していた治虫は、それを指図していたのが大五郎だったという。密輸取引が行われている倉庫へ急いだルナは、見張りの男からライフルを奪い、コンテナの中で縛られている夏子と和美を救出した。ルナは奥から現れた大五郎に銃口を向けたが、彼はたちまち密輸団を取り押さえる。実は大五郎は密輸団摘発のために組織にもぐりこんだ刑事だった。すべては終わり、ルナ、夏子、和美を乗せた三台の車は、黄昏の日高国道をひた走った。