「嫌疑者」のストーリー

B・J・ソマースはある住宅会社の社長だった。多数の投資者によって設立され、すぐに事業に着手されなければならないのだが、資金を別途に投資してしまったため、投資者達に詰問され、窮地に陥った。彼は親友のオーリントンに救助を求めたが、それも不成功に終わり、明朝までに資金の調達が出来なければ告発される羽目になった。ついに、彼は意中をクリフ・バリイに打ち明け、資金調達に失敗したときには自殺するから、それを他殺と見せ掛け、自分の生命保険金20万円を得て、それを投資者に償いをしてくれと頼んだ。その夜、ソマースの娘フランは、父の相談相手であり、自分の許嫁であるクリフとクラブに行き、父が後からくるのを待ち受けていた。一方父のソマースは資金調達ついに成らず、自殺をしようとしている所へ、恋人のデボラが訪れてきて、自殺を思い止まり、駆け落ちしようと迫った。クラブにいるクリフのもとへソマースから電話が掛かってきたが、その電話が不安なものだったので、ソマースの事務所にかけつけてみると、彼は既に死んでいた。そこでクリフは屍に他殺を装わせた。この計画をフランに知らせるに忍びず、その夜は自分の事務所に泊まった。翌朝ソマースの屍を発見したのは、父の事務所を訪れた娘のフランだった。探偵リアドンは何者からかの電報によって早速かけつけ、丁度来合していた保険会社員や所内の事務員らを全部尋問したが、いずれも各々の都合から容易に真実が掴めなかった。諸種の事情から、クリフに嫌疑がかけられたが、その事前夜のデボラが再び現れ、彼女がソマースに自殺を思い止まらしていた時、何者かが入り込んで来てソマースを射殺したのだと告白した。その犯人とはだれ?