「国境の町(1935)」のストーリー

ジョニー・ラミレスは長年の努力が報われて一本立ちの弁護士となった。彼が最初に扱った事件はメキシコ人の老野菜売りがデール・エルウェルと言う富豪の娘の自動車に野菜車をひっくり返された損害賠償要求の提訴であった。ところがこの裁判はジョニーがアメリカ生まれのメキシコ人である故と。彼が語学に不十分なところから原告の敗訴に終わった。そして彼は相手方の弁護士の暴言に憤慨し、これに暴力を加えたため弁護士の資格を剥奪されてしまった。彼は権力と金力に依ってこの復讐をすべく、チャーリー・ロークが経営する米墨国境のある町の酒場の用心棒となり、ついにその支配人から共同経営者となった。チャーリーの妻マリーはジョニーに言い寄ったが彼は見向きもしなかった。恋に狂ったマリーは一夜泥酔した夫を車庫に閉じ込め、窒息させてしまった。しかしチャーリーの死は過失と認められた。ジョニーは新しいキャヴァレーを造った。その開店の夜数年前法廷で争ったデールが現れた。彼はデールに愛を感じるようになった。嫉妬に燃えたマリーは、ジョニーの差し金で夫を殺したと称し、ジョニーに復讐しようとしたが、裁判所でマリーは過度の心労の結果発狂したのでジョニーは証拠不十分で放免された。その後ジョニーはデールに結婚を申し込んだが、始めから火遊び気分であった彼女はこの求婚を笑殺し、なおも負い縋るジョニーの手から逃れようとして前方から来た自動車に轢き殺された。ジョニーは自分の野心の全てに破れ、真の人生の幸福がいづこにあるかを悟り、故郷の母の許に帰った。