「マヌケ先生」のストーリー

映画監督・馬場鞠男は、生まれ故郷の尾道へ向かう汽車の中で、同じ尾道へ友人が“タンク岩”の下に埋めた宝物を探しに行くという、八の字髭を生やした不思議な紳士に出会い、戦争中だった幼い頃の記憶を辿り始める。落とし穴を一緒に作った校長先生のこと、ユニークなおなご先生やおとこ先生のこと、鯉の刺青を背負った孫三と彼が勤める芝居小屋の娘・千代子のこと、記録映画を撮りに来た外国人監督のこと、そして軍人の父と優しい母、祖父と祖母のこと。それから、彼は最も大切なことを想い出す。それは、初めて作った手作りのアニメ活動大写真「マヌケ先生」のことだ。そこに登場するのは、八の字髭を生やし、上映会の最中にスクリーンから逃げ出した不思議な紳士。汽車が尾道に着いた時、鞠男は確信する。乗り合わせた紳士はマヌケ先生で、彼の友人とは自分のことなのだと! 紳士に導かれタンク岩に赴いた鞠男は、そこで“宝物”を見つける。