「アワーミュージック」のストーリー

〈第一部・地獄編〉夥しい戦争映像のモンタージュが展開される。〈第二部・煉獄(浄罪界)編〉サラエヴォ。”本の出会い“というイベントに招かれた映画監督ゴダール(ジャン=リュック・ゴダール)は、講義の中で、イスラエルとパレスチナ、ユダヤとイスラムの非対称性を例に取り、世界を支配する対立構造を捉え直す試みについて言及する。退屈しはじめた学生たちの中で、女子学生オルガ(ナード・デュー)はひとつの決心をする。彼女は空港で、自ら編集した映像の収まったDVDをゴダールに手渡そうとする。自宅に帰って庭いじりをしているゴダールの元に、オルガの叔父である通訳のラモス(ロニー・クラメール)から、オルガがイスラエルで自爆テロリストに間違えられて射殺されたという知らせが届いた。〈第三部・天国編〉ゴダールが殉教に至ったオルガのために用意した安息の世界。ボールなしでビーチバレーに興じる若者たちの姿。そしてアメリカ兵に守られた小川のせせらぎを、明るい日差しを受けてオルガが歩いてゆく。