「熱いトタン屋根の猫」のストーリー

大おじいちゃまと家族の者から呼ばれる大農園主、ポリット家の当主(バール・アイヴス)が邸に帰ってきた。65歳の誕生日を迎える彼を、長男のグーパー(ジャック・カーソン)とその妻メエ(マドレーヌ・シャーウッド)、蛙の化物のようなふたりの5人の子供たちが、ことさらぎょうぎょうしく歓迎した。癌という不治の病を得ている当主の莫大な財産を、何とか有利に相続しようというのだ。米国各地の医師の診断を受けて帰ってきた当主には、もう1人の息子、次男のブリック(ポール・ニューマン)がいた。フット・ボール選手のブリックと、彼の妻マギー(エリザベス・テイラー)は、父にとって信頼するに足る夫婦だった。しかし、現在のブリックは酒に酔い、妻マギーとも「夫婦生活」をしようとしない焦燥の日々を送っていた。彼にはかつてスキッパーという親友があった。父よりも、妻よりも、彼はスキッパーを愛した。妻のマギーにとっては当然スキッパーは邪魔な存在だった。2人の間が親密になるほど、マギーは夫をとりもどそうと苦しんだ。そしてスキッパーのホテルを彼女が訪れた夜、スキッパーは自殺した。それから、ブリックは妻を妻として愛そうとしなくなったのだ。財産争いと夫の焦燥にはさまれたマギーは、熱いトタン屋根に追いつめられた猫のような存在となった。父の誕生日のパーティは異様な雰囲気のうちに、雨のため屋内に移った。父と喧嘩したブリックは、彼が癌に犯されているという秘密を思わず口走った。父は、やっとこのパーティの不気味な雰囲気の原因を知った。母は泣いた。居間では、長兄のグーパーが財産相続手続き書の承認を求めた。しかし、父は拒否した。父を真ん中に、ブリックとマギーは自分たちのおかれている立場と、心の問題に正面から対決した。ブリックを愛するマギーは、妊娠を告白した。父は、彼等2人に財産をゆずることを告げた。熱いトタン屋根の上の猫のような存在から、今は抜け出ることの出来たブリックとマギー。新しい出発をすべく、ふたりは今度こそ本当の夫婦として抱き合った。