「サン・ジャックへの道」のストーリー

会社経営と家庭のストレスで薬に依存している兄のピエール(アルチュス・ド・パンゲルン)、支配的で頑固なオバサン教師のクララ(ミュリエル・ロバン)、アルコール漬けで家族にも見捨てられ一文無しの弟のクロード(ジャン=ピエール・ダルッサン)。互いを認めず険悪な仲の兄姉弟が、亡き母親の遺産を相続するため、フランスのル・ピュイからスペインの西の果て、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで1500kmにも及ぶ巡礼路を一緒に歩くはめになった。本来神聖なる旅路のはずだが、無神論者の上に歩くことなど大嫌いの彼らの頭には、遺産の二文字しかない。このツアーの同行者は、ベテラン・ガイドのギイ(パスカル・レジティミュス)、楽しい山歩きと勘違いしてお気楽に参加したハイティーンの女の子達、エルザ(フロール・ヴァニエ=モロー)とカミーユ(マリー・クレメール)、カミーユを追って参加したアラブ系移民の少年サイッド(ニコラ・カザレ)、従兄弟であるサイッドにだまされてイスラムのメッカへ行けると信じ、二人分の旅費を苦しい家計から母親から捻出してもらったラムジィ(エメン・サイディ)、頭をターバンで包んだ物静かな女性マチルド(マリー・ビュネル)。9人の男女が、様々な思いを胸に、フランスのル・ピュイから旅の一歩を踏み出した。果てしなく続く岩山の道。様々なトラブルを乗り越えながら、一行はまっすぐ続く一本道を、急勾配の道を、天候に関係なくひたすら歩き続ける。それは、まさに人生のように長く起伏に富んだ道。今や彼らは、距離的にも精神的にも出発点からは遥かに離れた地点に立っていた。1500kmもの徒歩の旅のゴールには、いったい何が待っているのだろう? そして、ささやかなラムジィの願いは叶うのだろうか?