「毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト」のストーリー

1958年、ニューヨーク。36歳のダイアン・アーバス(ニコール・キッドマン)は、ファッション・フォトグラファーの夫アラン(タイ・バーレル)のアシスタントとして何不自由ない生活を送ってはいたものの、言い様のない居心地の悪さと不安を抱えていた。そんなある日のこと、アパートの前に止まったトラックから引っ越しの荷下ろしをする光景を窓から眺めていると、ダイアンの目に謎めいた男の姿が飛び込んできた。夏だというのにコートを羽織り、目の部分だけあいたマスクを被って、マフラーを巻いている。その男は、隣に越してきたライオネル(ロバート・ダウニー Jr.)だった。それから2週間、ライオネルの異形の姿に激しく心を奪われたダイアンは、彼の日常生活の物音からますます興味を募らせていく。そして、水道管を手掛かりにライオネルと交信することのできたダイアンは、ある夜、アランから貰った手付かずのカメラ、ローライフレックスを手に、ライオネルの部屋を訪ねようとする。しかし、部屋の前までは来たものの、ドアノブに手をかけることができない。次の夜も、また次の夜も、ライオネルをカメラにおさめることが出来ず、黙って自宅に引き返すダイアン。そしてある日、ついにライオネルの秘密に触れる日がやってくる。ライオネルの部屋に招き入れられたダイアンは、全身ライオンのような毛に覆われた彼の姿に、運命的とも言える欲望をかき立てられるのだった。