「はやぶさ 遥かなる帰還」のストーリー

2003年5月9日。小惑星探査機“はやぶさ”を搭載したロケットが鹿児島県内之浦観測所から飛び立つ。その最大の目的は、小惑星“イトカワ”へ行き、太陽系の起源、地球の起源を探る手がかりとなる石や砂を持ち帰ること。しかしそれは、世界でも例のない困難なミッションへの挑戦でもあった。ロケットを見守る“はやぶさ”プロジェクトマネージャーの山口駿一郎教授(渡辺謙)や新聞記者の井上真理(夏川結衣)たち。2004年5月、“はやぶさ”は地球の重力と交点速度を借りて方向転換とスピードアップを行なう“地球スウィングバイ”、7月には“イトカワ”の撮影に続けて成功。真理はカプセル担当の鎌田悦也(小澤征悦)や広報担当の丸川靖信(藤竜也)などプロジェクトチームの取材を続ける一方で、疎遠になっていた町工場を営む父、東出博(山崎努)と会う。妻を亡くして仕事も減った父を心配しながらも、シングルマザーとして働く真理は、父との距離を埋められずにいた。その後も様々な困難を乗り越えた“はやぶさ”は、2005年11月に“イトカワ”のサンプル採取に成功。だが、化学エンジンの燃料が漏れ、姿勢制御も不能になる。藤中仁志(江口洋介)と森内安夫(吉岡秀隆)は、イオンエンジンの燃料噴射によって姿勢制御に成功。危機を脱したものの、姿勢制御に時間を要したことで地球への期間が予定より3年延びてしまう。さらに通信途絶やイオンエンジンのトラブルなどが重なり、2009年11月に最後のイオンエンジンが停止。最大の危機に直面した時、山口はリーダーとして決断する。“はやぶさ”を地球へ帰す。決意を同じくした藤中と森内は、イオンエンジンに最後の指令を送った。満身創痍になりながらも地球へ帰還しようとする“はやぶさ”のため、チームの技術と想いがひとつになる。そして真理と父親に間にも、“はやぶさ”の帰りを願う気持ちが絆を結ぼうとしていた……。