「進め龍騎兵」のストーリー

19世紀の中頃、英国政府はインドの豪族スラット・カーンの亡父に与えた年金を打ち切った通知の使者としてハーコート卿を派遣し、ジエフリイ・ヴィッカース大尉が彼に随行した。カーンは表面快く受諾したが、内心復讐を企んでいた。当時は英と露がクリミアで正に戦端を開かんとしていた頃である。ヴィッカースはカルカッタ守備隊々長キャンベル大佐の令嬢エルサと婚約していたが、彼女はヴィッカースの弟ペリイ大尉と恋仲になっているので、兄弟の間に口論が起こった。ヴィッカースは軍馬購入のためアラビアへ派遣され、原住民の襲撃を退けて任務を果たした功により少佐に進級し、キャンベル大佐の駐屯地チュコテイに転勤を命ぜられる。カーンは秘かに国境の原住民を煽動していたが、守備隊司令官ベンジャミン・ワーレントンはそれを知らずチュコテイ部隊を演習のため出動せしめたので、手薄に乗じたカーンはチュコテイを攻撃し英軍の残留隊は危機に落ちた。カーンは使者を送って降伏するなら攻撃を中止する旨を約束したので、少数の将校は女子や子供を守って小舟で避難することになった。一行にはエルサやヴィッカースもいる。ところがカーンは約束を破って突如攻撃を始めた。負傷したヴィッカースはようやくエルザを助けて逃げ延びる。救援隊が到着した時カーンはキャンベル大佐を始め幕僚、婦女子を虐殺してクリミアの露軍に投じた後だった。やがて、ベンジャミン卿、ヴィッカース並びにペリイもクリミア出征を命ぜられる。出発前エルザはヴィッカースを訪れペリイを愛していることを告白し、彼の身を頼む。クリミアでは露軍の根拠地セバストポールの攻撃が始まる。英軍司令官メースフィールド卿はヴィッカースをベンジャミン卿のもとに使者として「攻撃すべからず」の命令を伝えしめる。ヴィッカースはカーンが露軍に投じていることを知っているので、チュコテイの復讐を企て故意に命令を変更して「直ちに攻撃を開始すべし」と伝えた。そして彼は戦死を覚悟しメースフィールド卿に宛て命令を変更した服罪状を書き、これをペリイにもたせてやった。こうして軽騎兵全軍は決死の突撃を開始し、ヴィッカースはカーンを刺し殺して自らも戦死し、全軍はほとんど全滅したがこれを口火に英国の総攻撃はついに露軍を撃退した。メースフィールド卿は多数の部下を殺した非難に対し、ヴィッカースの服罪状を火中に投じ、自ら潔く責めを負った。