「二十七人の漂流者」のストーリー

世界1周の豪華船が、深夜、大西洋上で機雷にふれて沈没した。1等航海士のアレック・ホームズ(タイロン・パワー)は愛し合っていた船の看護婦ジュリイ(マイ・セッタリング)を授け互いの無事を喜び合った。その2人の眼に1隻のボートがうつった。やっとたどりついたボートにはすでに沢山の人がしがみついて恐怖におののいていた。間もなくダロウ船長はホームズに指揮を託して息を引きとった。いがみ合う人達を前に、ホームズは自分の命令に従えない者はボートから降りるよう断固命令した。その矢先ふかが来襲し、点呼の結果27人に減った。しかしそれにしても多くの人間が乗り過ぎていた。ボートに乗っている人数を減らすべきだと云うフランク・ケリイ(ロイド・ノーラン)の言葉は、ホームズの心に恐ろしい考えを浮かばせた。全員ただ死を待つより、何人でもいいから強い者だけが残って、弱い者はボートから去るべきだ、ジュリイの愛を失ってもそうしなければならない。やがて嵐が迫って来た。彼はこの考えを実行しようと決意した。まず意識不明になったスペンサー夫人がボートから降ろされる。それに反対して自ら海中に身を投ずる者、ホームズに反抗して射殺される者など、1人減り、2人減りして15人が残った。今度は自分が殺されるのではないかという疑問が人々の心に持ち上がった頃、ギャングのファロンはホームズと口論の末、射殺されたが、ホームズも負傷を負った。嵐が静まり、負傷したホームズは、今度は自分が去るべきと考え、クラーリイに後事を託して海中に飛び込んだ。しかし彼はジュリイとクラーリイに助けられた。その時汽笛を鳴らして油槽船が近づいて来たのである。