「大統領の料理人」のストーリー

取材に訪れた南極基地で、オーストラリアのTVクルーが遭遇したのは一人の女性シェフだった。彼女は何者で、どこから来たのか。興味を持った取材班たちの前で、少しずつ彼女の素性が明らかになっていく……。自然豊かな田園風景が広がるフランスの片田舎。小さなレストランを営むごく普通の女性オルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)を、フランス政府公用車が迎えに来た。オルタンスが連れていかれたのはパリ中心部にあるエリゼ宮殿。彼女はミッテラン大統領(ジャン・ドルメッソン)からの直々の指名で、彼のプライベートシェフに抜擢されたのだ。ところが、官邸は独特の儀礼や規律の世界。厨房も料理を美味しくつくることは二の次で、数々の細かい約束事で縛られていた。さらには代々、男たちだけで営まれてきたシェフたちのヒエラルキーの中、オルタンスは完全に“招かれざる客”なのであった。だがそれでもオルタンスは料理のこと以外は目もくれない。彼らの嫉妬や専横に構わず、美味しい料理をつくることだけに真摯に豪快に突き進んでいく。そんな彼女が唯一気にしていたのは、自分の料理が大統領をハッピーにしているかどうかということだったが、なかなか大統領の声は聞こえてこないし、秘書官たちは大統領が料理のことに割く時間はないといわんばかり。今まで官邸では、食べる人の気持ちを確かめながら料理をつくる料理人はいなかったのだ。オルタンスは、食事の後の皿の様子、給仕たちの観察、そしていくつものメモを書き、あらゆる方法で大統領の気持ちを直接確かめようとする。当初は値踏みするような目で遠巻きに眺めていた同僚たちも、いつしか彼女の料理の熱意と腕前に刺激され、官邸の厨房に少しずつ新風が吹き始める。だが実は、オルタンスのまっすぐで新鮮な料理は大統領の心の中に確かな絆をつくっていた。そんなある日、オルタンスは、ミッテランから直接声をかけられる……。

今日は映画何の日?

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