「マゴーネ 土田康彦「運命の交差点」についての研究」のストーリー

ヴェネチアンガラスの島として知られるヴェネチア・ムラーノ島にスタジオを構える唯一の日本人アーティスト、土田康彦。独自の哲学と日本の美を吹き込んだ作品で世界中から注目を集め、“ガラスの詩人”とも呼ばれている。そんな土田の著書『運命の交差点』に触発された映像作家の田邊アツシは、この異色のガラス作家の姿を8年にわたり追い続ける。大阪の辻調理師専門学校を卒業し、ヴェネチアの名店ハリーズ・バーで調理師として働いた料理家としての顔も持つ土田は、自ら作ったガラス食器に料理を盛り付け、フェンシング選手や映像作家、ミュージシャンなど様々な悩みや葛藤を持った来訪者を、温かい食事とやわらかい物腰で包みこんでいく。“マゴーネ(Magone)”とは北イタリアの方言で“夕日を見る時の胸を締めつけられるような感覚”のこと。土田はそれを日本のことわざ “袖振り合うも多生の縁”とも繋がる感覚だと語り、偶然が運ぶ縁を創作に活かしている。本作は7章にわけ土田の人生と創作に関する様々な要素を紹介していく。