「丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部」のストーリー

「原爆の図」「南京大虐殺」「アウシュビッツ」と戦後一貫して戦争の地獄図絵を描いてきた丸木位里と丸木俊。1982年、「日本人側から見た記憶を残しておかなければいけない」と、ふたりは沖縄戦の取材を始める。体験者の最後の証言を聞き、生々しく残る戦地を歩いた。平和を願い描いたふたりの作品群の中で、沖縄の図はあますことなく戦争の悪を描き、日本軍の愚かさを伝えてその記憶を未来へ継承しようとする怒りあふれる作品となった。その絵は、1982年から1987年にわたって描かれ全14部からなる。「集団自決」「喜屋武岬」「久米島の虐殺(1)(2)」「暁の実弾射撃」「亀甲墓」「ガマ」「ひめゆりの塔」「沖縄戦の図」「沖縄戦―きやん岬」「沖縄戦―自然壕」「チビチリガマ」「シムクガマ」「残波大獅子」。最後は戦後の読谷村を描き、若者に未来を託す画となった。中心作「沖縄戦の図」は沖縄の戦争のすべての断片が描きこまれ、画面右下の骸骨の中に位里、俊の自画像も描かれ絵の中から未来を見ているような表現となっている。「沖縄戦の図」14部の制作の軌跡を辿りながら、ふたりの思考を明らかにし、ふたりが出会った人たちを通して、沖縄戦以降の沖縄の歴史を紐解いてゆく。