解説
生きものの「終わり」を告げる奇妙な鳥と突如出会ったことで“死”と向き合いながら、今ここにある“生”の喜びをかみしめる母娘の物語。ある日、余命わずかな少女・チューズデーの前に<DEATH(デス)>という名の喋って歌う変幻自在な一羽の鳥が舞い降りる。デスはタバコをくゆらせ、ラップのリズムを刻むチャーミングさを見せるが、実は地球を周回して生きものの「終わり」を告げる鳥だった。クロアチア出身のダイナ・O・プスィッチによる長編監督デビュー作。デスを造形する一方で“死”という観念を奇想天外に視覚化、その苦悩にも触れるなど奥行きのあるストーリーに仕立てた。繊細でウィットに富んだ少女チューズデー役には「恋人はアンバー」のローラ・ペティクルー。シリアスとコミカルを横断する絶妙なバランスで母親ゾラを演じたのは、エミー賞常連の人気TVシリーズ『VEEP/ヴィープ』で知られる、コメディエンヌのジュリア・ルイス=ドレイファス。コンゴウインコをメインに据えて、絶滅危惧種まで含めさまざまな種類の鳥を複合的に掛け合わせた<デス>の声には俳優のアリンゼ・ケニを起用。ただ単にアフレコを行ったのではなく、実際に撮影現場に立ち会い、キャストの一員として<デス>を演じ、リアリティを持たせた。
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この作品のレビュー
映画専門家レビュー
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「終わりの鳥」のストーリー
ある日、余命わずかな15歳のチューズデー(ローラ・ペティクルー)のもとに、喋って歌う奇妙な鳥が舞い降りてくる。地球を周回して生きものの“終わり”を告げる、その名も<デス(DEATH)>。チューズデーはデスをジョークで笑わせ、留守の母親ゾラ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)が帰宅するまで自身の最期を引き延ばすことに成功する。やがて家に戻ったゾラは、鳥の存在に畏れおののき、愛する娘からデスを全力で遠ざけるべく暴挙に出るのだが……。
「終わりの鳥」の映像
「終わりの鳥」の写真
「終わりの鳥」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「終わりの鳥」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ファンタジー ドラマ |
製作国 | イギリス アメリカ |
製作年 | 2024 |
公開年月日 | 2025年4月4日 |
上映時間 | 110分 |
製作会社 | Wild Swim Films=Gingerbread Pictures=Record Player Films |
配給 | ハピネットファントム・スタジオ |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
音量 | 5.1ch |
公式サイト | https://happinet-phantom.com/tuesday/ |
コピーライト | (C)DEATH ON A TUESDAYLLC/THE BRITISH FILM INSTITUTE/BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2024 |
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