解説
50年代に労働英雄として祭りあげられた男の後半生を追う映画大学の女子学生の行動を描いた「大理石の男」(77)の続篇で、ポーランドの自主管理労組“連帯”の社会的・政治的位置についての考察を含んだ社会派映画。製作総指揮はバルバラ・ペツ・シレシツカ、監督は「世代」のアンジェイ・ワイダ、脚本はアレクサンドル・シチボル・リルスキ、撮影はエドワルド・クウォシンスキ、音楽はアンジェイ・コジンスキが各々但当。出演はイェジー・ラジヴィオヴィッチ、クリスティナ・ヤンダ、マリアン・オパニア、ヴェスワヴァ・コスマルスカ、イレナ・ビルスカなど。
ユーザーレビュー
「鉄の男」のストーリー
1980年8月。ワルシャワ放送局のラジオ番組のニュース・リポーター、ヴィンケル(マリアン・オパニア)は、大規模なストライキが行なわれているグダニスクに派遣された。ストライキが行なわれている造船所にもぐり込み、指導者マチェック(イェジー・ラジヴィオヴィッチ)を失墜させるのが目的だ。マチェックとその周辺の人物たちの資料を公安警察から受け取ったヴィンケルは、マチェックの妻アグネシカ(クリスティナ・ヤンダ)に会うことを勧められた。彼女は、かつてマチェックの父で“労働英雄”ビルクート(ラジヴィオヴィッチ二役)のドキュメンタリーを撮り、それが縁でマチェックと結婚したのだが、労働者を支援したために今は拘置されたままだ。翌日グダニスク造船所の門の前で群衆に呼びかけているマチェックを発見したヴィンケルに声をかける者がいた。グダニスク放送局で会ったことのあるシデク(ボグスワフ・リンダ)で、彼はヴィンケルを局内の映写室に案内すると、70年の街頭デモのフィルムを見せ、マチェックについて語りはじめた。― -68年の学生蜂起から2年後のデモ、ビルクートの死を経て造船所の技師となるまで……。そして、マチェックの母やビルクートの同志だったフレヴィッチ夫人(イレナ・ビルスカ)、その娘アンナ(ヴェスワヴァ・コスマルスカ)などの証言でだんだんとビルクートの死にまつわる事実、マチェックの活動が明らかになってゆく。それにしたがって、ヴィンケルには、自分に負わされた任務に対する反撥が芽ばえていった。そして、いよいよ拘置所のアグネシカを訪ねる時がきた。彼女からすべての経過を聞いたヴィンケルはマチェックたちの側に立つことを決意した。マチェックに関するレポート提出を拒否しワルシャワ放送局を免職になるヴィンケル。折りから、この日、8月31日政労合意によるストライキ中止の協定調印が行なわれ、“連帯”委員長レフ・ワレサが会場の中を進む。かけつけるマチェックや釈放されたアグネシカらが見守る中、調印は終わった。次の瞬間、拍手が響き国歌が流れるのだった。
「鉄の男」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「鉄の男」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | 社会派 |
製作国 | ポーランド |
製作年 | 1981 |
製作会社 | フィルム・ユニットX |
配給 | 東宝東和 |
レイティング | |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | カラー/スタンダード |
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