解説
一八八〇年代のロシアを舞台に、内に情熱を秘めた孤独な知識人の愛と苦悩を描いたアントン・チェーホフの『伯父ワーニャ』の映画化。監督・脚本はアンドレイ・ミハルコフ・コンチャロフスキー、撮影はG・レルベルグ、Ye・グスリンスキー、音楽はA・シニートケが各々担当。出演はインノケンティ・スモクトゥノフスキー、セルゲイ・ボンダルチュク、ウラジミール・ザリジン、イリーナ・ミロシニチェンコ、イリーナ・クプチェンコなど。
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「ワーニャ伯父さん」のストーリー
一九世紀の末のロシア、限りなく寂しい灰色の空虚感にみちみちた時代。義兄滋兄の老教授セレブリャコフ(W・ゼリージン)が大学を退職して、若く美しい後妻のエレーナ(E・ミロシニチェンコ)を連れて田舎の邸に帰ってきてからは、それまで規則正しかったこの邸の生活は一変してしまった。昼顔に起きだしたり、突拍子もなく夜中にベルを鳴して召使を呼んだりする教授の気ままな生活態度を見続けているうちに、ワーニャ(I・スモクトゥノフスキー)は今まで義兄のためと思い領地の経営に専念してきた自分の生き方に疑問を抱き始めていた。ワーニャの知的生活の光明であるはずの老数授への不信が、生きる目的の喪失を招いたのである。この暗然たる気分からのがれるためにワーニャは酒を飲み続けるようになった。今この領地で働いているのは姪のソーニャ(E・クプチェンコ)だけであった。ワーニャの古くからの友人の医師のアーストロフが老教授の診察を兼ねてこの邸を訪れた。貧しい人々の病気をなおしながら乱伐の続くロシヤの森の将来を気づかうアーストロフもまた酒で気をまぎらわす日々を送っていた。このアーストロフを尊敬し、ひそかに恋しているソーニャは喜々として彼をむかえるのだった。しかしアーストロフの気持は、老教授の後妻エレーナに向いていた。一方ワーニャもエレーナにひかれていた。アーストロフへの愛を胸に秘めて若しみ悩んでいるソーニャは彼の自分に対する気持を聞いてくれるように頼んだ。しかしその結果をソーニャに伝えることはできなかった。ある日、突然老教授が家族全員に集合を命じた。集った人々を前にして、彼はこの土地を売却して、その金で別荘を買い、都会にもどって生活することを提案した。借金だらけだったこの家の財政を、自分の青春をも、才能をも犠牲にして立て直し、二十五年もの間にわたってせっせと教授に金を送り続けていたワーニャの努力は完全に老数授に無視された。今こそ、セレブリャコフの俗物ぶりに気がつき怒り狂ったワーニャは彼を射殺しようとピストルを乱射した。数時間後、騒ぎはおさまった。教授はエレーナと一緒に、都会へ帰っていった。アーストロフも帰り、以前の静けさがもどってきた。残された人生をじっと堪え忍んで生きていかなければならないワーニャ伯父さんを、失恋の痛手に悩むソーニャがそっとなぐさめる。
「ワーニャ伯父さん」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「ワーニャ伯父さん」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | ソ連 |
製作年 | 1971 |
公開年月日 | 1972年9月16日 |
製作会社 | モス・フイルム |
配給 | ATG |
レイティング | |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | カラー/スタンダード |
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