花札を投げて相手を倒そうとする女おりん(瑳峨三智子)。この技、以前に見たと思ったら、狂四郎に殺されたヤクザの伴蔵の妹との設定。さて、どの映画だったかな。もう思い出せない。で、このおりんが兄を殺された逆恨みで、狂四郎の行く先々で邪魔をして、この女のせいでいたいけな女性も犠牲になっているし、とっとと斬ってしまえば良いのに。山田五十鈴の娘じゃそう無碍にも殺せないか。
今回は信州の岩代藩のお家騒動(跡継ぎ問題)に巻き込まれて、信州まで足を伸ばしている。「眠狂四郎女妖剣」では浜松まで行ってつまらなかったけど、今回の信州旅行はなかなか楽しかった。道中の仕掛けや罠も浜松旅行よりは凝っていたかな。おりんがいい悪役をやっている。花を添えている感じか。
映画のクレジットで女優陣がたくさん出ていたので、これはエロ路線かなと思ったが、「眠狂四郎女妖剣」ほどでもなかったな。クレジットが終わってからの映画のスタート、本筋とは関係ないが、カメラが屋根の上から俯瞰で写していて、狂四郎が飲み屋から出てきて、飲み屋のオヤジから傘を借りて歩いて行くシーン、いいなあ。ありきたりの絵かもしれないけど好きだね。途中、黒ミサのシーンが出てくるけど、これはいらないな。裸を見せたかったから入れたようなシーンだった。
岩代藩の城下町でラストの立ち回りがすごい。これだと岩代藩のお侍さん全員を殺さないと話は終わらない、と思ったら、きちんと江戸のお役人が止めに入って終わりとなる。ここで、一度、狂四郎が捕まるのだが、この辺はちょっと無理があるかな。殺陣のシーンだけでもって行っても良かったのでは。
私の寡聞により、瑳峨三智子をはじめとして出演者達をよく知らなかったのだが、その中で稲葉義男は知っていた。でも彼の役は岩代藩の江戸詰めの家老の役で登場シーンはほんのちょっとだけだった。それより大映映画でよく見かける顔の長い役者、誰か判らなかったけど調べると伊達三郎と言う役者だった。前作の「眠狂四郎炎情剣」では冒頭で狂四郎に殺されていた。顔に特徴があるのですぐ判る。良いねえ。こういう脇役達がいてこそ映画は成り立つんだ。