大映で始まった座頭市もこの映画で終わり。この後、勝監督で問題ありの「座頭市」、タケシの「座頭市」、綾瀬はるかの女版「ICHI」、そして香取慎吾主演の「座頭市 THE LAST」があるが、それぞれリメイクと考えて良いだろう。勝プロとしては続けたかったのだろうなあ。興行成績とか配給の東宝との関係もあったのだろう。で結局この映画が最後となった。
やっぱり面白いなあ。そんなに大映映画を見ているわけではないけど、大映時代劇は面白い。大映が倒産して映画が撮れなくなった監督達がこぞってテレビに移っていったから、テレビの時代劇が盛んになったんだろう。また、監督達の撮影技術もテレビ界に移っていったんだろう。この映画を観て、この撮り方テレビ時代劇にあったなあ、と言うところが随所にあった。
今回の製作も勝プロなので出演陣が豪華だ。志村喬、岡田英次、佐藤慶とこんなに揃える必要は無いのに、勝新は豪華にしたかったんだろう。これがもし大映が倒産していなかったら、こんなに豪華な役者陣を揃えなかったでしょう。そういう意味では勝プロは算盤をはじけなかったのかな。
志村喬も岡田英次も勝新太郎よりは先輩の映画人だろう。志村喬はすでに黒澤映画で主演を何度もしているし、岡田英次も「また逢う日まで」で話題を呼び、「二十四時間の情事」でフランス映画にも出ていた。失礼ながら映画としても格上の映画に出ていた。佐藤慶もすでに大島映画の常連として出演していた。年齢も先輩でしょ。こんな彼らを悪役としたり(佐藤慶はずっと悪役)、あっさり殺したり。これも勝の見栄かな。
脚本は女性で服部佳子と言う人。調べてみてもこの映画と日活の「伊豆の踊子」しか出てこない。それでもきちんとした本に仕上げている。そして最後の立ち回りはやっぱり圧巻だ。これまでの座頭市映画に比べて、なんか血の出る量が多いように思うが。だんだんと血の量が多くなってくる時代になってきたのかな。特に佐藤慶が斬られて首から血が吹き出すシーンはやっぱり黒澤を意識したかな。
無敵の座頭市、故郷の笠間を後にして何処に行く。