こういう映画、というか筋の前提となるギャンブル好きの話は入っていけないよ。全ては山波(山城新伍)の博奕好きから始まったことで、こういう人間は落ちるところまで落ちないとダメでしょ。落ちるところまで落ちてもまだギャンブルをするような人間でしょ。水原一平と同じ。自分のお店を担保にしてヤクザから金を借りた時点で破滅でしょ。そんな彼に手を貸す義理は一つもない。現に店を取り戻せる金をまたギャンブルで使い、奥さんが自殺してその香典でまたギャンブルするなんて最低の人間じゃない。そんな人間を助ける必要が何処にある。むしろ、主人公の銀次郎(鶴田浩二)と花沢(待田京介)は博奕で稼いだ金で好きな女を身請けすれば良いだけの話。ギャンブル好きの男に関わるなんて、底なし沼に引きずり込まれている男に足を捕まれて一緒に引きずり込まれていくだけ。
だから全然共感もないし、話に入っていけない。むしろヤクザの黒田組の理屈の方が筋が通っている。
黒田組預かりの桜井(小池朝雄)、最後に黒田から絶縁されているのだから、組長を助ける義理は無くなっているのになんで助けるの?また、銀次郎はあんなに簡単に桜井をさせるものかね。先輩の博奕打ちの弟子で一目置いていた人をああもあっさりとさせるかね。
賭場で行われている博奕は初めて見るのでルールが全く判らない。札も初めて見るし、どの札が強いのか弱いのか、どういうルールなのか判らない。面白いといえば面白いのだが。座頭市は全てサイコロ賭博だったけど。
若山富三郎の悪役っぷりは良かったねえ。彼の出た作品はちょっと漫画チックな役どころが多かったけど、こういう根っからの悪人を演じてもらうのは嬉しい。小池朝雄も渋くて良いね。「仁義なき戦い」シリーズでも2回も殺されている。