「少年探偵団 かぶと虫の妖奇」のストーリー
獄中「原子炉の秘密設計図」を狙う“怪人二十面相”は、その目的を達すべくヘリコプターによって脱獄した。名探偵明智小五郎はじめ少年探偵団の面々は俄然緊張し、相川原子力委員長の家と設計者吉川博士の研究所とに張込み警戒を始めた。警視庁もその全力を挙げて警備に当っていた。一方、怪人二十面相は、その変幻自在な変装と機械化された部下とを駆使して設計図奪取の計画を進めていた。謎の第八チャンネルによるテレビ放送も開始した。研究所は常時五万ボルトの電流を通した有棘鉄線で囲まれ、深夜を問わず見張員が立ったが、二十面相は予告通り、警視庁管下のパトロールカーの手配も空しく、白昼堂々と金庫を破って去った。しかし、このことあるを察した明智探偵が設計図を密かに他に移しておいたので、二十面相は目的を達せず第八チャンネルのテレビを通じて新兵器の出現を発表した。この新兵器を使って研究所の守りを破ったのだった。警察側はこの正体を見極めることが出来なかったが、明智探偵だけがこれは精巧な電気仕掛の物体だと断言する。少年探偵団の一人植村君はこの得体の知れぬ怪物にさらわれた。だが、その正体は間もなく判る時が来た。二十面相は警視庁、少年探偵団の包囲に落ちたが、平然としていた。それもその筈、やがて数条のライトにくっきりと巨大なかぶと虫に似たロボットが姿を現わしたからだ。ゆうゆうと去って行くこの怪物を追った少年探偵団の相川、小林、斎藤の三少年は次々とさらわれた。コンクリートの壁を踏みくだき、二本の角から閃光をほとばしらせて板塀を燃し--。そしてどこからともなく勝誇ったような二十面相の笑い声が聞こえて来る。