はるか、ノスタルジィ

はるかのすたるじぃ
上映日
1993年2月20日

製作国
日本

制作年
1992
レーティング
ジャンル
ファンタジー

check解説

青春時代を過ごした小樽を訪れた作家と彼に町を案内する少女が、作家の本名を名乗る不思議な少年に導かれて、痛ましい青春の記憶を再生させていくドラマ。「転校生」「さびしんぼう」に続く原作・山中恒、監督・大林宣彦のコンビの第三作で、山中が故郷・小樽を舞台に書き下ろした作品を大林自身が脚色、大林ファンタジーの集大成的な作品になっている。先に公開された「青春デンデケデケデケ」の前に撮影された作品で、「ふたり」に続いて石田ひかりが主演、少女・はるかと、三好遥子の二役に挑んでいる。友情出演として多岐川裕美、石田ゆり子、入江若葉、岩松了ほか多くのゲストが顔を出している。小樽・札幌・大阪などでは九二年に先行公開された。
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この作品のレビュー

ユーザーレビュー

  • ミャーノフ大佐

     公開時に観ているのだが、変な映画、の印象。大林映画ではあるのだが。
     改めて見直して、失敗作だなあと思う。大林の3部作の舞台、尾道と同じように坂の町小樽を舞台とした映画。ああ、似ているなあと思った。ふとしたしたことから主人公綾瀬慎介(勝野洋)とはるか(石田ひかり)の出会いから、綾瀬の学生時代(高校?)の小樽で過ごした日々が解き明かされていく。ちょっと奇妙なストーリー展開だが、そこは許そう。ラスト30分くらいか、謎が解き明かされていく、とともにこれまでのストーリーを全て説明するように話が進んでいって。秘密の解き明かしは良いとして、そこから人間関係の繋がりを説明するのは都合良すぎるし、ちょっとなあ、繋げすぎだよなあ。人間関係の強引に繋げるのは、いらなかったのでは。
     あと、時代背景が気になる。主人公は戦争中、疎開していて10年ぶりに親と一緒に暮らしているとのこと。とすると1955年頃。それから小説家になって、はるかが高校生くらいだから、プラス20年くらい。とすると話の時代は1975年頃。そしてその子供がやはり高校生くらいで出てくるから、プラス20年くらい。とするとラストシーンは1995年となってしまう。プラスした年数を15年としても、1985年。主人公綾瀬は1955年で17歳として、小説家として登場する現在は50代前後に見えるのだが、と計算すると、主人公の年と、三好遥子の年と、はるかの年と、さらにその子供の年と、合わなくなってくるのだけど。そして風景、背景がその時代の風景、背景ではないのだけど。
     原作の山中恒もこの映画のために書き下ろしたとのことで、時間がなかったのか、小樽に思い入れが過ぎたのか詰め込みすぎている。いらないところをそぎ落として、もっとすっきりした話の展開にすれば良かったのに。その影響か尺が長すぎる。もっと短くできたのでは。
     あと、これも意図的にしているのでしょうが、ほとんどアフレコで台詞を入れているでしょう。石田ひかりの台詞の声がわざと囁くようにしているが、これはこの映画にとって効果があったのだろうか。非情に聞き取りにくい。
     ロリータ趣味の大林、石田ひかりのセミヌードシーンはいらないよ。勝野洋のヌードはもっといらない。あのシーンの必然だった?
    映像は大林に間違いないのに、失敗作でした。大林は傑作もあるけど、失敗作もたくさんあるんだよなあ。
    勝野洋も石田ひかりもあまり好きな役者ではないんだが(最近の石田ゆり子が好きなんだけど)、特にこの映画では石田ひかりの肌の荒れ具合が劇場では目立っていた。

「はるか、ノスタルジィ」のストーリー

綾瀬慎介(勝野洋)はリトル文庫〈小樽・恋シリーズ〉と呼ばれる一連の少女小説の人気作家であったが、コンビを組んでいた友人の挿絵画家・紀宮(ベンガル)の突然の死をきっかけに、少年期のある忌まわしい記憶から逃れるようにして訪れることのなかった小樽の地を十数年ぶりに踏んだ。そこで慎介は、はるか(石田ひかり)という彼の小説のファンの少女に出会い、彼女の案内で現在の小樽を訪ねるが、二人の行く手には影のようにつきまとう古風な服装の少年がいた。ある日、つきまとっていた少年は二人の前に現れ、佐藤弘(松田洋治)と名乗る。それは慎介の本名であった。彼は高校時代の自分自身だったのだ。弘によって慎介は、高校時代に三好遥子という少女が好きだったこと、全く売れない作家だった父・統策のこと、娼婦として働いていた母のことなどを思い出し、三人は慎介の失われた過去の記憶と対峙する心の旅を続けていく。娼家から出た遥子を目撃した弘は、彼女に確かめることもなくただ一度きりの関係の際に『売女』となじったのだった……。そしてまた、はるかも自分が三好遥子の娘であることを知る。互いの気持ちを確認し、慎介とはるかは一度きり結ばれる……。現代にやって来た高校時代の弘は、また自分の時代へ戻っていく。そうして慎介は、今こそ本名の佐藤弘として生きていくのだった。

「はるか、ノスタルジィ」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「はるか、ノスタルジィ」のスペック

基本情報
ジャンル ファンタジー
製作国 日本
製作年 1992
公開年月日 1993年2月20日
製作会社 ギャラック プレミアム=ピー・エス・シー作品
配給 東映
レイティング

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