解説
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
公開時に観ているのだが、変な映画、の印象。大林映画ではあるのだが。
改めて見直して、失敗作だなあと思う。大林の3部作の舞台、尾道と同じように坂の町小樽を舞台とした映画。ああ、似ているなあと思った。ふとしたしたことから主人公綾瀬慎介(勝野洋)とはるか(石田ひかり)の出会いから、綾瀬の学生時代(高校?)の小樽で過ごした日々が解き明かされていく。ちょっと奇妙なストーリー展開だが、そこは許そう。ラスト30分くらいか、謎が解き明かされていく、とともにこれまでのストーリーを全て説明するように話が進んでいって。秘密の解き明かしは良いとして、そこから人間関係の繋がりを説明するのは都合良すぎるし、ちょっとなあ、繋げすぎだよなあ。人間関係の強引に繋げるのは、いらなかったのでは。
あと、時代背景が気になる。主人公は戦争中、疎開していて10年ぶりに親と一緒に暮らしているとのこと。とすると1955年頃。それから小説家になって、はるかが高校生くらいだから、プラス20年くらい。とすると話の時代は1975年頃。そしてその子供がやはり高校生くらいで出てくるから、プラス20年くらい。とするとラストシーンは1995年となってしまう。プラスした年数を15年としても、1985年。主人公綾瀬は1955年で17歳として、小説家として登場する現在は50代前後に見えるのだが、と計算すると、主人公の年と、三好遥子の年と、はるかの年と、さらにその子供の年と、合わなくなってくるのだけど。そして風景、背景がその時代の風景、背景ではないのだけど。
原作の山中恒もこの映画のために書き下ろしたとのことで、時間がなかったのか、小樽に思い入れが過ぎたのか詰め込みすぎている。いらないところをそぎ落として、もっとすっきりした話の展開にすれば良かったのに。その影響か尺が長すぎる。もっと短くできたのでは。
あと、これも意図的にしているのでしょうが、ほとんどアフレコで台詞を入れているでしょう。石田ひかりの台詞の声がわざと囁くようにしているが、これはこの映画にとって効果があったのだろうか。非情に聞き取りにくい。
ロリータ趣味の大林、石田ひかりのセミヌードシーンはいらないよ。勝野洋のヌードはもっといらない。あのシーンの必然だった?
映像は大林に間違いないのに、失敗作でした。大林は傑作もあるけど、失敗作もたくさんあるんだよなあ。
勝野洋も石田ひかりもあまり好きな役者ではないんだが(最近の石田ゆり子が好きなんだけど)、特にこの映画では石田ひかりの肌の荒れ具合が劇場では目立っていた。
「はるか、ノスタルジィ」のストーリー
「はるか、ノスタルジィ」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「はるか、ノスタルジィ」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ファンタジー |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1992 |
公開年月日 | 1993年2月20日 |
製作会社 | ギャラック プレミアム=ピー・エス・シー作品 |
配給 | 東映 |
レイティング |
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