「さまよう刃(2009)」のストーリー
ある朝、東京の川べりで無残な制服姿の女子中学生の死体が発見される。現場にやってきた刑事の織部(竹之内豊)と真野(伊東四郎)は、遺体に強姦と薬物注射の痕跡があることを知る。娘と遺体安置所で対面した少女の父親、長峰重樹(寺尾聰)は、その変わり果てた姿に泣き崩れる。妻を亡くして娘の成長だけを楽しみに生きていた長峰は、失意のどん底へ突き落とされ、生きる気力すら失ってしまう。そこへ、謎の留守電メッセージが届く。それは、娘を殺した2人組みの犯人の名前と、その1人の住所を告げるものだった。半信半疑でその住所へ向かった長峰が見つけたのは、娘をレイプする犯人の姿が映ったビデオテープ。激しい怒りに駆られた長峰は、帰宅した犯人の伴崎に刃物を突き立てると、もう1人の犯人、菅野を追って姿を消すのだった。一方、事件を捜査していた織部と真野のもとには一通の手紙が届く。差出人は長峰。伴崎を殺したことを告白する内容だった。手紙には、未成年である犯人に対する刑罰の軽さへの抗議と、それをどうしても許せない自分の心情が綴られていた。それを読み、長峰の心情を察した織部は、“警察のしていることはなんなのか”と真野に詰め寄る。殺人犯として指名手配される長峰。そのころ、彼は長野にいた。伴崎から聞き出した“長野のペンション”という手がかりを頼りに菅野を追っていたのだ。織部と真野も、伴崎の自宅から押収したビデオテープから菅野の潜伏先を割り出し、長野へ向かう。運命に導かれるようにペンション跡地で対峙する長峰と織部。やり場のない憤り、不条理に突き動かされ、物語は衝撃の結末へ向かっていく……。