「マイヤーリング」のストーリー
1881年、オーストリア=ハンガリー帝国は皇帝フランツ・ヨーゼフ1世(ベイジル・シドニー)の統治下、大国として繁栄を誇っていた。ウィーンの宮廷で暮らす皇太子ルドルフ(メル・ファーラー)は23歳。母エリザベート(ダイアナ・ウィンヤード)の影響を受けた進歩的な思想の持ち主である彼は、保守的な父ヨーゼフ1世と衝突が絶えない。そんなルドルフも、皇太子としての宿命から、父が決めた相手と望まぬ結婚をする。7年後。ルドルフは結婚生活への不満から、派手な交際で何人もの女性と浮き名を流すようになっていた。だがある日、友人と出かけた公園で、17才の男爵令嬢マリー(オードリー・ヘプバーン)と運命の出会いを果たす。マリーの清楚な美しさに、初恋のように心をときめかせるルドルフ。恋する気持ちはマリーも同じだった。歌劇場での再会を経て、2人の気持ちは一気に燃え上がる。しかし、厳格な男爵家出身のマリーと妻子ある皇太子ルドルフは、会うこともままならない。人目を忍んで密会を続けた2人だったが、それはやがてヨーゼフ1世の知るところとなる。スキャンダルを恐れたヨーゼフ1世の策略により、マリーが叔父の家に送られ、一旦は引き離された2人だったが、6週間後に再会するとお互いの気持ちを確かめ合う。共に人生を歩むと決めたルドルフは、マリーにプロポーズ。“死ぬまで愛にて結ばれん”と刻まれた結婚指輪をマリーに贈る。だが、ルドルフの離婚はローマ教皇から認められず、ヨーゼフ1世は“別れなければ、マリーを修道院に入れる”と告げる。その残酷な仕打ちに、ルドルフはある決意を胸に秘め、舞踏会の最中、マリーに“私が遠い所に長い間行ってしまったとしたら?”と尋ねる。彼女からの返答は“一緒に行く。どこへでも行くわ”。かくしてルドルフに連れられたマリーは、マイヤーリングにある狩猟館へと向かう。それが、永遠の世界への旅立ちになるとも知らず……。