解説
1890年に和歌山県で起きたオスマン帝国の親善訪日使節団を乗せた軍艦エルトゥールル号の海難事故、そして1985年イラン・イラク戦争時にテヘランに残された日本人の救出にトルコが尽力した史実に基づき、日本・トルコ両国の絆や危険を押してでも助けようとする人々を描いた人間ドラマ。エルトゥールル号編とテヘラン救出編の二部で構成される。監督は「利休にたずねよ」が第37回モントリオール世界映画祭最優秀藝術貢献賞に輝いた田中光敏。海難事故に遭遇した医師を「臨場・劇場版」の内野聖陽が演じ、「マイ・バック・ページ」の忽那汐里やトルコ人俳優ケナン・エジェが二役で出演。外務省の後援や、トルコ政府全面協力を受け制作された。
ユーザーレビュー
「海難1890」のストーリー
1890年9月。オスマン帝国から日本へ派遣されていた親善使節団はその使命を終え、帰路につく。しかし使節団を乗せた軍艦エルトゥールル号は台風に遭遇し、和歌山県紀伊大島の樫野崎沖で沈没。船の爆発音が島中に響き渡り、おびただしい数の死体と船の残骸が岸に漂着する。この地に暮らす医師・田村(内野聖陽)と助手のハル(忽那汐里)をはじめ村民総出で救出活動にあたった。救護所に海軍機関大尉のムスタファ(ケナン・エジェ)が担ぎ込まれ、一時は呼吸が止まっていた彼はハルの懸命な心臓マッサージにより一命を取り留める。この事故により69名が生き残り、500名以上が死亡。生き残ったことに苦悩し怒りをぶつけるムスタファに、田村は母国の遺族に返そうと漂着物を綺麗に磨く村人たちの姿を見せる。ムスタファは日本人のあたたかい真心をその胸に刻むのだった――。時は移り、1985年、イラン・イラク戦争下のイラン・テヘラン。空爆が続き、トルコ大使館の職員ムラト(ケナン・エジェ)と日本人学校の教師・春海(忽那汐里)は地下避難壕で出会った。イラクの大統領サダム・フセインは48時間後以降イラン上空を行く航空機は無差別に攻撃すると突如宣言。日本大使の野村(永島敏行)は救援機を要請するが日本は対応が難しい状況にあり、他国の者たちが続々と脱出する中、邦人は取り残されていった。技術者の木村(宅間孝行)は危険が迫っているのはわかってはいたが、家族とイラン脱出を諦めていた。絶望的な状況下にも関わらず、晴海は子供たちを守ろうと奔走していた。晴海はトルコに救援機の手配を頼むよう野村に進言、トルコのオザル首相は救援機の派遣を決定する。しかし空港で救援機を待つ多くのトルコ人たちの姿が目に入り、日本人たちが諦めかけたそのとき、ムラトはかつてトルコ人が日本人から受けた真心について語り始める……。
「海難1890」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「海難1890」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 トルコ |
製作年 | 2015 |
公開年月日 | 2015年12月5日 |
上映時間 | 132分 |
製作会社 | Ertugrul Film Partners |
配給 | 東映 |
レイティング | 一般映画 |
カラー/サイズ | カラー |
公式サイト | http://www.kainan1890.jp |
コピーライト | (C)2015 Ertugrul Film Partners |
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