解説
原作:吉田修一、監督:李相日の『悪人』チームが再集結した、オールスターキャストの群像ミステリー。東京の八王子で夫婦が惨殺されてから1年、犯人はいまだ逃走を続けていた。千葉・東京・沖縄で前歴不詳の男と出会った人々の間に、男に対する不信感が広がっていく。監督は「フラガール」が第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞を獲得した李相日。芥川賞作家・吉田修一の同名小説を映画化。娘の交際相手を信用しきれず苦悩する父親を「許されざる者」以来の李監督作出演となる渡辺謙が演じるほか、「モテキ」の森山未來、「天の茶助」の松山ケンイチ、「そこのみにて光輝く」の綾野剛らが出演。
「怒り(2016)」のストーリー
八王子の閑静な住宅地で、惨たらしく殺された夫婦の遺体が見つかる。室内には、被害者の血で書かれたと思われる『怒』の文字が残されていた。犯人逮捕に結びつく有力な情報が得られないまま、事件から1年が経ってしまう。千葉の漁港で働く洋平(渡辺謙)は、家出していた娘・愛子(宮崎あおい)を連れて帰ってくる。愛子は漁港で働き始めた田代という男(松山ケンイチ)と親密になっていき、洋平に彼と一緒に住みたいと告げる。しかしその直前に愛子のために田代に正社員登用を勧めて断られていた洋平の胸の内は複雑だった。二人のアパートの下見の際、田代が前住所を偽っていることが判明。さらに田代という名すら偽名だった。疑念を強める洋平が愛子を問いただすと、彼は借金で追われていると告げられる。そんな中、テレビで整形して逃亡を続ける八王子殺人事件の犯人の似顔絵が公開された。手配書を見つめ、警察に電話をかける愛子。時を同じくして田代は行方をくらます。東京にある大手広告代理店に勤める優馬(妻夫木聡)は、たまたま知り合った直人(綾野剛)と親密になり、住所不定の彼を家に招き入れる。直人は末期ガンを患う優馬の母・貴子(原日出子)や友人とも親しくなっていく。しかし日中の彼の行動がわからない上に、仲間内で空き巣事件が連続していること、見知らぬ女性と一緒にいたことが重なり、ニュースで報じられた事件の犯人の特徴を知った優馬の脳裏に直人の姿が浮かぶ。ふと、冗談めかして殺人犯かと口に出してしまう優馬。後日、直人は優馬の前から姿を消す。母と沖縄に引っ越してきた泉(広瀬すず)は、離島を散策中、一人でサバイバル生活をしている田中(森山未來)と出会う。泉は気兼ねなく話せる田中に心を開いていく。ある日、同い年の辰哉(佐久本宝)と訪れた那覇で事件に遭遇。彼女がショックを受け立ち直れないのも自分のせいだと自責の念にかられる辰哉は、田中に悩みを打ち明ける。自分は味方だとの田中の言葉に救われる辰哉だったが、彼の隠された事実を知り、やりきれない思いが胸中に広がっていく。
「怒り(2016)」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
---|
キャスト | 役名 |
---|

「怒り(2016)」のスペック
基本情報 | |
---|---|
ジャンル | サスペンス・ミステリー ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2016 |
公開年月日 | 2016年9月17日 |
上映時間 | 142分 |
製作会社 | 「怒り」製作委員会(製作プロダクション:東宝映画/制作協力:ドラゴンフライ) |
配給 | 東宝 |
レイティング | PG-12 |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
公式サイト | http://www.ikari-movie.com/ |
コピーライト | (C)2016映画「怒り」製作委員会 |
関連するキネマ旬報の記事
関連記事一覧 | |
---|---|
2017年4月上旬号 | MOVIE at HOME ●DVD COLLECTION 「怒り」 |
2017年2月下旬号 キネマ旬報ベスト・テン発表特別号 |
2016年 第90回 キネマ旬報ベスト・テン 日本映画ベスト・テン 2016年 第90回 キネマ旬報ベスト・テン 読者選出日本映画ベスト・テン |
2016年11月下旬号 | 読者の映画評 「オーバーフェンス」/小西順子 「怒り」/星野市子 「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」/東野真美 |
2016年11月上旬号 | 読者の映画評 「怒り」原田隆司/「ハドソン川の奇跡」加藤哲夫/「ハートビート」坂田未希子 |
2016年10月上旬号 | REVIEW 日本映画&外国映画 怒り |
2016年9月下旬号 |
「怒り」 鼎談 李相日[監督・脚本]×吉田修一[原作]×川村元気[企画・プロデュース] 怒る人ではなく、怒れない人の物語 UPCOMING 新作紹介 「怒り」 |
2016年7月下旬号 | キネマ旬報が選ぶ みんなが観たい、いい映画55 「シン・ゴジラ」 「怒り」 「ハドソン川の奇跡」 「オーバー・フェンス」 「永い言い訳」 「ダゲレオタイプの女」 「淵に立つ」 「湯を沸かすほどの熱い愛」 「SCOOP!」 「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」 「スーサイド・スクワッド」 「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」 「Silence」 「ぼくのおじさん」 「イレブン・ミニッツ」 「ゴーストバスターズ」 「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」 「ジェイソン・ボーン」 「溺れるナイフ」 「シング・ストリート 未来へのうた」 |