破墓/パミョの映画専門家レビュー一覧

破墓/パミョ

    「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシクらが出演、2024年第60回百想芸術大賞4冠に輝いたスリラー。代々跡継ぎが謎の病気にかかる家族から破格の報酬で依頼を受け、巫堂ファリムや風水師サンドクらは墓の改葬を始めるが、墓にはある秘密が隠されており……。監督は、「プリースト 悪魔を葬る者」のチャン・ジェヒョン。風水師サンドクをチェ・ミンシクが、お祓いを行なう巫堂ファリムをドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のキム・ゴウンが、改葬を仕切る葬儀師ヨングンを『コンフィデンシャル/共助』のユ・ヘジンが、ファリムの弟子ボンギルを『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』のイ・ドヒョンが演じる。2024年第74回ベルリン国際映画祭フォーラム部門上映作品。第60回百想芸術大賞にて監督賞、主演女優賞(キム・ゴウン)、新人男優賞(イ・ドヒョン)、芸術賞を受賞。
    • 映画監督

      清原惟

      先祖の怨念を晴らすために改葬を行う呪術師(?)たちのバトル映画。日本でいうところの陰陽師みたいだなと思いつつ、ホラー映画でありながらも仰々しい演出に笑ってしまう場面もあった。埋葬という馴染み深い題材でリアリティを担保しながらも、日本の鬼が出てきたりと突拍子もない展開をしていく。そこから日本の植民地時代の話も混ざりつつ、国家や民族といった大きな枠組みの話になっていっているのが、怖くもあり面白い。主人公の女性の鋭い視線が、このとんでもない設定を支えている。

    • 編集者、映画批評家

      高崎俊夫

      この映画はいわば二段構えになっていて、前半のエピソードが圧倒的に面白い。在米の富豪コリアン家族からの依頼で跡継ぎが代々謎の病気にかかっており、お祓いと墓の掘り起こしで多額の報酬を得る風水師、葬儀師の四人組がいかがわしくてよい。巫女が憑依して踊り狂うシーンなど絶品だった。ところが後半は一転、日帝が朝鮮半島の絆を断ち切るために刺した呪いの釘などという大法螺吹きのテーマが朗々と謳い上げられ、異形の歴史オカルトみたいな収拾がつかない事態になってしまった。

    • 映画批評・編集

      渡部幻

      チャン・ジェヒョンのオカルト・スリラー。主要人物が自らを紹介していく快調な冒頭でまず、前作「サバハ」からの熟達を感じられる。前代未聞の悪地に佇む墓の改葬依頼。不審な点が多い。40年間、地官を務めてきたチェ・ミンシクはチームに警告する。ここは悪地の中の悪地で、関われば全員が命を落とすであろうと。あらすじの解説は野暮だろう。ぐいぐい引き込む演出と役者陣の卓越した演技に導かれながら、驚きの展開に身を任せた方がよい。本国での大ヒットもうなずけるエンタテインメントだと思う。

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