BETTER MAN/ベター・マンの映画専門家レビュー一覧
BETTER MAN/ベター・マン
「グレイテスト・ショーマン」のマイケル・グレイシー監督がイギリスのポップスター、ロビー・ウィリアムスの人生を描くミュージカル映画。ライブパフォーマンスやドラマを紡ぎ、彼の内なる葛藤や成長、そして彼を取り巻く音楽業界の狂おしさまでも映し出す。ロビー・ウィリアムスが本人役で出演。
-
映画評論家/番組等の構成・演出
荻野洋一
R・ウィリアムズおよびテイク・ザットのファン向け。それ以外の層にアピールできる作品かというと難しい面がある。ファンベースの巨大規模を計算しての企画だし、主人公のカリスマ性は間違いないが、それに依存した独白一点張りの作劇が閉塞的である。そしてM・グレイシーの荒っぽい演出、これは前々作「グレイテスト・ショーマン」の段階できちんと批判されるべきだったが、当時はあいにく絶賛評ばかり読まされた。ただしラストのロイヤル・アルバート・ホール公演のシーンは圧巻である。
-
アダルトビデオ監督
二村ヒトシ
すばらしい。米国でコケたと聞き、まさか猿だというのがなんらかのコードに引っかかったのではと一瞬思ったが、アメリカ人がロビー・ウィリアムスに興味ないだけかな。俺だって興味ないけどイギリス人ならきっと誰でも知ってるスターが子どもの頃から発達障がい気味で醜形自己嫌悪があったって実話を、全篇歌って踊るお猿さんで描く監督と御本人の大英断。猿も人間もダンスも歌もいい。これ猿じゃなかったら、最近よくある「超有名人の知られざる苦労話」映画の一本にすぎなかったと思う。
-
著述家、プロデューサー
湯山玲子
スター映画はちまたに数多くあるが、本作が描いたのは、「人はパンのみで生きるにあらず」という本質的なエンタテインメントの実像。「スターは普通じゃない」というメタファーを、猿顔の主人公にて共通理解させた上での挫折と成功の物語が陳腐に陥らないのは、修辞的な台詞のセンスにもある。大衆音楽のベースがメディアと芸能界にしかない日本と違って、パブやミュージックホールの伝統があるイギリス。芸人や音楽家たちの骨太なバックボーンの描写は、この監督ならでは。
1 -
3件表示/全3件