マンガ肉と僕の映画専門家レビュー一覧

マンガ肉と僕

第12回女による女のためのR-18文学賞を受賞した朝香式の同名小説を映画化。女優・杉野希妃の長編初監督・主演作。寄生し、依存しあう男女の物語を全編京都で撮影。出演は「サムライフ」の三浦貴大、「六月燈の三姉妹」の徳永えり。第27回東京国際映画祭をはじめ、数々の国際映画祭に出品。
  • 映画評論家

    上島春彦

    杉野希妃の「世を忍ぶ仮の姿」が素晴らしく一見の価値あり。ただラストで絶世の美女に戻っちゃうのが何かもったいない。セックス中毒者徳永、不実なインテリちすんも好調。三浦くんが三人の女をもてあそんだり、逆にもてあそばれたりという女難物語で、見終わると「男ってバカだなあ」とつくづく思う。京都をロケ地にして独特な日本美を取り込んだのが功を奏し、これは海外でも絶対にうけるね。惜しいのは三人の女すべて均等にネタを盛り込んだせいで一本調子になっちゃったことかな。

  • 映画評論家

    北川れい子

    “僕”が関わる3人の女たちの頓珍漢な独り相撲ぶりは確かに困ったものだが、それ以上に困るのは「存在の耐えられない軽さ」のダニエル・デイ・ルイスを連想させなくもない“僕”。一見、女に無防備なようで、イザとなると薄情で調子いい奴。で結果として困った男女を描いた困った映画、ま、コメディーと思えば笑えなくもないが、困ったことに大真面目。杉野監督本人が演じるキャラクターにしても「百円の恋」の安藤サクラのあとではね。「欲動」でも感じたが杉野監督は理屈で撮っている。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    才あるプロデューサーとして注目してきた杉野希妃だが、初監督作で主演も兼任したのは成功とは思えず。この肉女はもっと怪物的な狂気がなければ成立しないのでは。3年後、5年後と主人公の男の女性遍歴が描かれるが、関係が壊れる過程を省略しているだけで空白期間が台詞で説明される以上には見えてこないので、男の妬み嫉みも分からない。杉野の他の作品にはインディペンデント映画らしい自由を感じたが、本作は女性監督らしいジェンダー映画の括りで観るしかないと感じてしまう。

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