僕だけがいない街の映画専門家レビュー一覧
僕だけがいない街
『マンガ大賞』や『このマンガがすごい!』に2年連続ランクインした同名ミステリー漫画を、「ツナグ」の平川雄一朗監督が映画化。悪い出来事を止めるまで時間が巻き戻る売れない漫画家が、18年前に起きた児童連続誘拐事件に向き合う。時空移動(タイムリープ)に巻き込まれ幼少期をやり直す売れない漫画家を「藁の楯 わらのたて」「DEATH NOTE デスノート」の藤原竜也が、凶悪犯に命を狙われる女性を「ビリギャル」「ストロボ・エッジ」の有村架純が演じる。
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映画評論家
上島春彦
原作者は藤子・F・不二雄の『未来の思い出』のファンかも。過去に意識が戻り何度も同じ時間帯を繰り返しつつ未来を変えるという設定が似ている。でも、こちらは幼女連続殺人が絡んで、人々の必死さの度合いがケタはずれ。現在と小学生時代を行き来して事件を未然に防ぐ主人公のがむしゃらぶりに感動必至である。彼が「リヴァイヴァル」と呼ぶほんの数秒単位での過去の繰り返し、やり直しも面白い。ネタバレ厳禁で多くは語れないが『あさが来た』の少女の妙な色っぽさが抜群。
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映画評論家
北川れい子
時間が何度も同じ場面に巻き戻るといえば、桜坂洋の原作を基にしたトム・クルーズ主演のSFアクション「オール・ユー・ニード・イズ・キル」があるが、こちらの主人公は、短い時間逆行を繰り返したあげく、母親が殺されたことがきっかけでドーンと18年前の少年時代に戻ってしまう。しかも当時、子どもが次々と殺されていて、というのだが、事件の気色ワルさと時間の逆行がうっとうしく、時間と事件をお手玉する主人公の唐突さもご都合主義的。独り忙しげな藤原竜也、お疲れサマ。
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映画評論家
モルモット吉田
SF設定をご都合主義の道具にしか思っていない凡作。主人公の母は洞察力に優れた元報道人という設定なのに誘拐未遂を目撃しても届けないわ、注意されてもアパートの鍵を掛けない。主人公も自分で疑われる方向に仕向けているとしか思えない。大人の視点を持って小学生時代に戻るのに邪な感情を描く気がないなら、せめて昔は何でもないと思っていた同級生が一目置ける奴と気付くぐらいの描写は欲しい。2時間で設定と登場人物を消化することに追われて何も描かれていないに等しい。
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