創造と神秘のサグラダファミリアの映画専門家レビュー一覧
創造と神秘のサグラダファミリア
イタリアの建築家アントニ・ガウディが構想し、着工から130年を超える現在も未完成の一大建築プロジェクト、サグラダ・ファミリア。普段は見ることのできない内部の映像や建築関係者の証言から、その全貌に迫るドキュメンタリー。証言者の1人として、プロジェクトに参加している日本人彫刻家の外尾悦郎も登場。
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映画・漫画評論家
小野耕世
72年に初めてバルセロナを訪ねた私は、ホテル・ガウディに泊り、ガウディの建築を見てまわったが、当時ガウディの名は日本でそれほど一般的ではなかった。20年後の92年に再訪したときは、グエル公園の上に囲いができていたが、今は入場料をとるという。サグラダ・ファミリアは教会なので、映画ではその宗教的な意味や理念が主に語られるのは当然だが、この未完の建造物のメタボリズム生命体のようなふしぎさや完成をめざすための技術的な工夫などを、もっと知りたかった。
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映画ライター
中西愛子
1882年に着工され、創始者アントニオ・ガウディの死後も、そしていまなお未完の建築物である、スペインの大聖堂サグラダ・ファミリア。その歴史を辿り、現場スタッフを取材し、また外観、内部を映し出し壮大なプロジェクトの創造過程を追う。1世紀以上にわたる変遷は複雑だ。ガウディの天才にまず驚嘆し、多くの困難を乗り越え、これを死守してきたバルセロナ文化に感動する。が、時代は変わる。関係者の考えもそれぞれ。移りゆくアートや宗教の未来に思いを巡らせてみたくなる。
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映画批評
萩野亮
オーソドックスなインタビュー・ドキュメンタリーながら、とてもよくまとまっている。「サグラダ・ファミリア」というこの途方もないプロジェクトは、いまはいない鬼才と、図面を引き継いだ建築家や彫刻家との対話そのものなのだと知らされた。ファサードを手がけた日本人彫刻家の、そのたたずまいやことばの奥ゆかしさ。近代化も戦争も生き抜いてきた、神秘の尖塔群から見えてくるカタルーニャがある。それにしても、自分が生きているうちに完成のめどがつくとは思わなかった。
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