星ガ丘ワンダーランドの映画専門家レビュー一覧

星ガ丘ワンダーランド

Google作品で知られるCMクリエイター、柳沢翔の監督デビュー作。星ガ丘駅の落し物預り所に勤務する温人。幼い頃に自分を捨てた母親が自殺したという一報が届き、兄や義理の姉弟と再会、やがて閉ざされていた過去が明らかになっていく。出演は「やるっきゃ騎士」の中村倫也、「さようなら」の新井浩文、「さいはてにて やさしい香りと待ちながら」の佐々木希、「そこのみにて光輝く」の菅田将暉、「真夏の方程式」の杏、「極道大戦争」の市原隼人、「告白」の木村佳乃、『孤独のグルメ』の松重豊。撮影を「7s セブンス」の今村圭佑が担当する。
  • 映画評論家

    上島春彦

    きわめてオリジナリティの高い脚本で星が伸びた。どうやって撮ったか分からないような垂直俯瞰も含め、撮影が抜群で、車内に雪が降る場面も良い。ウェルズ的かつトランボ的なスノードームも脚本家の映画的趣味の確かさを証明するものだ。小さな駅の遺失物係が主人公で、どこか市川準とかのセンスを継承している気もする。ゴージャスなキャストをわざと地味に使うという手法もその印象を助長する。メインのミステリーは弱いが、むしろ、いちゃもんつける傘おばさんがミステリー。

  • 映画評論家

    北川れい子

    何人もの人物が登場、いろいろな場面があるのに、観終っての印象は口がモゴモゴ、何が言いたいのか、何を言ってるのか、実に掴みどころがない。さしずめイメージが先行、そのイメージに沿ったエピソードを作り、それをつなぎ合わせて一本の映画に仕立てたような。雪道に子どもを残して去っていく赤いコートの母親は、いったい何だ? そして20年、成長した子どもは母親が死んだと知る。駅の忘れ物を巡るエピソードも妙に大袈裟で、閉園となる遊園地はビジュアル効果狙い? 困っちゃう。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    映像先行型の監督が脚本を完成させることができずに絵コンテで描き、プロデューサーが脚本を差し込みで書いて撮影という内情を聞くまでもなく、観ると話はガタガタ。ミステリー要素が入っているので余計に種明かし部分で白けるが、PV、CM出身の映像至上主義監督の作品は、安易なお話と凡庸な映像だけの作品よりも遥かに好意的に観られるので、美しい映像を眺めている分には文句なし。主人公があまりにもナイーブで善人と思わせるが、平気で職権乱用するから、よく分からない奴だが。

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