ライチ・光クラブの映画専門家レビュー一覧

ライチ・光クラブ

大人を否定し、自分たちだけの世界を作ろうとする少年たちの愛憎をテーマとする古屋兎丸の同名漫画を実写化したダークファンタジー。監督は「パズル」の内藤瑛亮。出演は「愛を積むひと」の野村周平、「脳内ポイズンベリー」の古川雄輝。他に、ヒロインを「劇場版 零~ゼロ~」の中条あやみ、ロボット・ライチの声を「翠星のガルガンティア めぐる航路、遥か」シリーズの杉田智和が務める。
  • 映画評論家

    上島春彦

    廃墟趣味の美術が楽しい。それは閉鎖的なアジトであると同時にそこを取り囲む世界そのものでもある。野外演劇集団にこういう人たち、いたなあと漠然と感じたのだが原作は東京グランギニョルの舞台だそうで、ちょい意外。BL風味は私の許容範囲を超えるも、カリスマが古川で反抗分子が野村というキャストは豪華である。永遠の存在たらんとする少年たちと、彼らによって命を吹き込まれるロボット、そして彼らが拉致した美少女という構成要素の微妙なミスマッチ、不均衡な感覚が秀逸だ。

  • 映画評論家

    北川れい子

    原作コミックのルーツは舞台劇だそうで、ナルホド舞台なら14歳をかなりオーバーした役者が14歳を演じても、舞台という空間のマジックで素直に受け入れるに違いない。けれども本作は、いくらダーク・ファンタジーとはいえ、実写である。しかも年齢がドラマの大きな鍵になっている。それなのに出演者たちに少年顔はほとんど不在で、オトコ顔とおやじ顔ばかり。そんな風貌で反大人を実践する少年たちの残酷な美学を描いても、ただグロテスクなだけ。題材が面白いだけにとても残念だ。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    美術、衣裳などは素晴らしく、世界観も魅力だが、このクラブがどういう組織で何を目的にしているのか不明瞭なのでディテールを愛でるのみ。内藤監督らしく少女とロボットという奇形の愛に傾倒する部分はハツラツとしているが、クラブのメンバーたちが没個性的で、肝心のロボットの人格形成やライチの木など物語の細部の扱いがルーズなのでコメディータッチになる部分も戸惑う。メンバーを女子集団にしてしまうか女子が男装して演じた方が監督のフェティシズムが発揮できたのでは?

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